企業の選考を進み始めてしばらく経つと、内定をもらう時期に入ります。
面接練習や試験の勉強など、努力した末にもらう内定への感動はひとしおですよね。
しかし、就職活動は内定をもらって終了というわけにはいきません。
内定をもらったら、なるべく早くその企業に入社するのかしないのかを決め、その決定に沿った手続きをしなくてはなりません。
内定を承諾するなら内定承諾書と添え状を返送し、内定を辞退するならその旨を連絡する必要があります。
しかし、内定を承諾し入社をするつもりはあるものの、添え状の作成方法がわからず困っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな疑問に答えていきます。
特に、志望企業から内定をもらった人は、ぜひ最後まで読んでくださいね。
内定承諾書とは
もらった内定を承諾し、企業に入社することを決めたら、添え状をつけた内定承諾書を出す必要があります。
しかし、そもそも内定承諾書とは何なのでしょうか?
添え状の書き方についてお話する前に、まずは内定承諾書について説明します。
内定承諾書は「その企業の内定を受け入れる」もの
企業から内定が出ると、「内定通知書」もしくは「採用通知書」と呼ばれる書類と、「内定承諾書」の2つが送られてきます。
通知書はあくまで内定が出たことを知らせるための書類ですが、内定承諾書は違います。
内定承諾書は、文字通り内定を承諾する場合に企業に返送する書類です。
入社する場合、必要事項を記入のうえで企業に送り返す必要があるものなので、汚れや折り目が付かないよう大切に保管しましょう。
入社を決めてから返送しよう
企業の内定を受け入れるための内定承諾書ですが、提出は慎重におこないましょう。
内定承諾書を提出するということは、企業に対して「私はあなたの会社に入社します」という意向を伝えることです。
提出してしまった後に「やっぱり入社しないことにしました」と伝えるのは企業に迷惑がかかりますし、誠実性に欠けた人だと思われてしまいます。
内定承諾書は、自分が本当にその企業に入社したいのか、その決定に後悔はないか、しっかり考えてから返送するようにしてください。
内定承諾書には添え状が必須
内定承諾書について説明をしたところで、次はいよいよ添え状についてのお話です。
用意された書類に記入するだけの内定承諾書とは違って、添え状は一から自分で作成する必要があります。
面倒くさいと思うかもしれませんが、せっかく内定が出て、志望する企業に入社する権利を得たのですから、あと少しです。
ラストスパートだと思って、頑張りましょう。
添え状は社会人のマナー
内定承諾書に限らず、大切な書類を送る際は添え状をつけるのが社会人のマナーです。
添え状とは、何の書類を何枚入れて送ったのかを明確にするためのもの。
また添え状には、同封した書類に関するトラブルを防ぐほか、挨拶代わりの意味もあります。
企業に入社した後も作成する機会があるかもしれないので、しっかり慣れておきましょう。
作成する際の詳しい項目については、後ほど詳しく書いていきますね。
添え状の作成は手書きでもパソコンでも構いませんが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
メリットとデメリットを正しく理解したうえで、今のあなたにあったものを選びましょう。
手書きする場合のメリットとデメリット
手書きのメリットとしては、熱意や意欲の高さをアピールできる点が挙げられます。
丁寧な字で書いた添え状は、受け取った側にとっても嬉しいもの。
あなたが企業に入社したい意欲や、その企業に対して手間を掛けたという証拠にもなります。
一方、手書きで作成するデメリットは、書き損じた場合には最初から書き直さなければならない点。
修正テープや二重線での訂正はよい印象を与えないため、間違えてしまった場合は必ず最初から書き直す必要が生じます。
そのため、時間に余裕があり、かつ少しでも相手に熱意をアピールしたいと思う場合に手書きの添え状を作成するのがオススメです。
パソコンで作成する場合のメリットとデメリット
パソコン作成のメリットは、なんと言っても便利さです。手書きとは違って、パソコンならすぐに修正ができます。
また手書きよりも時間をかけずに作成できるため、忙しい人にもおすすめです。
ですが簡単に作成できる分、時間を掛けて作成された手書きの添え状にはどうしても見劣りしてしまいます。
どうしても時間が無い場合や、簡単に作りたい場合にはパソコンで作成するのがよいでしょう。
添え状を作成する際の必須事項
さて、添え状の作成方法は決まりましたか?
手書きとパソコンにはそれぞれメリットがありますので、今のあなたの状況に合った方法を選んでくださいね。
ここからは、気になる添え状の作成手順について解説していきます。
せっかくあなたの能力や人柄を評価されて内定をもらったのに、添え状の作成ミスが...なんて印象を持たれてしまうのは嫌ですよね。
以下の項目をしっかり読んで、完璧な添え状を作成しましょう。
最後には見本も付けていますので、作成の際は参考にしてみてください。
左上に宛名、右上に差出人を記入する
まずは宛名を左上に記入しましょう。
相手企業の社名の下に、「人事部 〇〇様」と相手の名前を書いてください。
企業名を書く際は、(株)などと省略したりはせず、必ず「株式会社〇〇」と正式名称で書くようにしましょう。
株式会社が社名の前につくのか、後につくのかもしっかり確認してくださいね。
また担当者の名前がわからない場合は、「採用ご担当者様」と書いても構いません。
差出人、つまりあなたの情報は、相手の宛名の下に右寄せで書きましょう。
差出人情報は、
- 郵便番号と住所
- 氏名
- 電話番号
- メールアドレス
の4つを記載するのが一般的です。
頭語・結語を使う
この記事の最初にも書いた通り、添え状は相手への挨拶の役割も持っています。
しかしながら添え状は公的な書類ですから、挨拶も格式ある書き方を心がけなければいけません。
そこで使用するのが「頭語」と「結語」です。少し耳慣れない言葉かもしれませんね。
「頭語」は文章の最初につく「拝啓」のこと、そして「結語」は文章の最後につく「敬具」のことです。
なかなか普段の生活では使用することがないかもしれませんが、添え状の挨拶には必須の表現になります。
今後のためにもしっかり覚えておきましょう。
時候の挨拶や内定へのお礼
内定承諾書につける添え状なので、内定へのお礼は必須です。
後ほど見本にも書きますが、「この度は内定の通知をいただきありがとうございました」といった表現は忘れないようにしましょう。
また、時候の挨拶も頭語や結語と同様、日常生活ではなかなか使わないものですが、公的な挨拶文では使用されることは珍しくありません。
時候の挨拶は、たとえば4月なら「桜花の候」、7月なら「盛夏の候」など、季節によって変わるあいさつ文の切り出しのことです。
長いものでは「花の盛りもいつしか過ぎ、葉桜の季節を迎えました」といった表現もあります。
もしも表現に困ってしまった場合や、覚えきれない場合は、季節に関わらず使える「時下、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます」という表現もありますので、定型文として知っておくと便利です。
同封書類を記入する
添え状に必ず書かなければいけないのがこの同封書類です。
何の書類が何通入っているのかを明記するのが添え状の本来の役割ですから、この項目は絶対に忘れないようにしましょう。
書類の名称を書くだけでなく、それが何通入っているのかも必ず書くようにしてください。
また、何かしらの資格や提出書類などを一緒に送付する場合は、この部分に忘れずに記入しましょう。
内容のリストを書き終わったら、最後は「以上」と締めくくってください。
【見本あり】添え状の例
添え状について説明してきましたが、いかがでしたか?
なかなか文面だけではイメージがつきにくい部分もあるかと思いますので、ここでは一例として見本を紹介します。
文書の形式など、作成の際はぜひ参考にしてくださいね。
20XX年◯月◯日
株式会社〇〇
人事部 〇〇 〇〇様
〒000-0000
東京都〇〇区〇〇1丁目2-3
〇〇 〇〇
携帯電話:090-××××-××××
e-mail:××××@〇〇.com
内定承諾書送付のお知らせ
拝啓
桜花の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
このたびは採用内定の通知をいただきまして、誠にありがとうございました。入社後は貴社の一員として貢献できるよう、精進して参ります。ご指導・ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
つきましては、下記の書類をお送りいたしますので、ご査収ください。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
敬具
記
・内定承諾書 1通
以上
発送のポイント
内定承諾書と添え状がそろったら、いよいよ発送の段階です。
なかなか封筒で書類を送ることもないかもしれませんが、入社する会社への書類ですから、不備がないように細心の注意を払いましょう。
封筒は角形2号・白色を選ぶ
封筒は白色のものを選んでください。
「茶色の封筒じゃダメなの?」と思う人もいるかもしれませんが、一般的に重要書類の送付には白色の封筒を使用します。
また、サイズは書類を折らずに入れることができる角形2号のものを使用しましょう。
封筒の中に書類を入れる際は、そのまま入れるのではなく、クリアファイルなどに入れて送付するのがマナーです。
「内定承諾書在中」を忘れずに
封筒には宛名、差出人の他に「内定承諾書在中」と書くのを忘れないでください。
書くのは裏面ではなく、わかりやすいように表面に書くのが一般的です。
宛名の左側に、赤字・縦書きで書きましょう。
また、封筒を閉じたら閉じ口に「〆」と書くのを忘れないでください。
返送は1週間を目安に
内定承諾書の返送は1週間を目安におこなってください。
もちろん、あなたがその会社に入社すると決めているのなら、返送はできるだけ早いほうがよいでしょう。
ただ、もしも内定を承諾するか否か迷っているのなら、1週間を目安に決断するのがベストです。
どうしても決めきれない、他社の選考結果を待ちたいなどの理由で返送までに1週間以上の時間がかかる場合は、必ず企業に電話して、内定承諾書の返送が遅くなってしまう旨を伝える必要があります。
やむを得ない場合は発送後の辞退も可能
もし内定承諾書発送後にどうしても別の企業に入社したい場合は、内定の辞退も可能です。
入社2週間前までの辞退は法律上認められていますが、決断を覆すタイミングが遅くなれば遅くなるほど相手の企業にも迷惑がかかります。
発送後の辞退も可能ではありますが、できれば避けたほうが賢明だと覚えておきましょう。
後から「やっぱり別の会社に...」なんてことにならないように、内定承諾の判断は慎重におこなうようにしてください。
まとめ:完璧な添え状で好印象に
内定承諾書は、あなたの入社意思の表明であるとともに、会社からあなたへの第一印象を決定づけるものでもあります。
添え状や発送など、不備がないように慎重におこないたいですよね。
特に自分で一から作成する添え状は、不安も大きいと思います。
ここで、この記事に書いた添え状についての情報をまとめてみます。
- 手書きでもパソコン作成でもどちらでもOK
- 宛名と差出人を忘れずに
- 頭語や結語を使う
- 時候の挨拶や内定へのお礼を述べる
- 同封書類を記入する
この5つを忘れずに、添え状を作成してみてください。
今あなたの手元にある内定は、あなたが頑張った末に手に入れたものです。
ぜひ後悔のない、素敵な社会人生活のスタートを切ってください!