コロナで増えている内定取り消し|理由と対処法を解説

あなたは「内定取り消し」という言葉を聞いたことがありますか?

新型コロナウイルスによってさまざまな業界で売り上げが下がり、人員削減をおこなった企業も多くありました。

それにより、新卒で内定を出した学生に対しても、内定取り消しをおこなう企業もいくつかニュースになりましたよね。

そこで今回は、

  • 内定取り消しとはどのようなものなのか
  • どのような状況なら内定取り消しが認められるのか

これらを解説していきます。

WANABI
編集部
今内定を持っていても、内定取り消しの可能性があるとどこか不安になってしまいますよね。
その不安を解消するためにも、ぜひ読んでみてくださいね。

 

そもそも内定取り消しってなに?違法じゃないの?

内定取り消しを説明するには、まず「内定」とは何かを説明します。

そもそも「内定」とは、まだ在学中の学生に対して、先に入社の約束をすることです。

内定への流れは、以下の通りです。

  1. 面接などの選考を通過する
  2. 「○月○日に入社してほしい」という内容の内定通知書を送る
  3. 誓約書にサインをしてもらう
  4. 正式に内定になる

    このように、会社側と学生側のどちらからも合意が取れて、初めて内定が成立します。

    「内定」と似た言葉で「内々定」という言葉もありますが、内々定は「内定を出すことを前向きに考えている」というだけなので、正式な労働契約は成立していません

    そして、内定取り消しも内定と同じように、学生側の合意がきちんと取れないと成立しません。

    やむを得ない事情で内定取り消しをおこなわないといけない場合は、しっかりと説明をする責任があります。

    十分な説明もして、このあと説明する条件に当てはまっており、学生側とも合意が取れている場合の内定取り消しは、違法ではありません。

    違法とされるのは、企業側からの一方的な内定取り消しです。あなたの合意なしに、勝手に内定が取り消されていた場合は違法なので、弁護士や労働局に相談する方法を取ることもできます。

    このあとの条件をしっかり確認して、合法なのか違法なのかを判断しましょう。

    新型コロナウイルスの影響で、内定取り消しは増えてるの?

    結論から言うと、新型コロナウイルスの影響で内定取り消しは増えてしまいました。

    例年の内定取り消しの理由は学生側の問題がほとんどだったのに対して、新型コロナウイルスが流行し出した2020年卒の学生に対する内定取り消しは、企業の業績不振によるものがほとんどでした。

    企業の業績不振による内定取り消しは、

    • 学生側から法的に訴えられる可能性がある
    • 企業のイメージが下がる

    このような懸念があるので、企業としても、できればおこないたくない行為であることは確かです。

    それでもなお、内定取り消しがおこなわれたのは、それだけ業績が不安定になってしまったということになります。

    その後の2021年卒は、内定取り消しの数は減りましたが、そもそも採用活動を縮小した企業が多くなりました。

    特に、旅行・航空・アパレルなどは、新型コロナウイルスの影響を強く受けていたので、21卒でも採用規模は回復していませんでした。

    内定取り消しは企業としても、大きなイメージダウンにつながります。

    そのため、20年卒のように、予測できない業績不振などでない限り、企業側の都合での内定取り消しはほとんどないと考えてよいでしょう。

    内定取り消しが認められる場合:内定者側の都合

    では、内定取り消しが認められる場合はどのような条件なのでしょうか?

    条件には、内定者側の都合で取り消しが認められる場合と、企業側の都合で取り消しが認められる場合があります。

    ここでは、内定者側の都合で内定取り消しが認められている条件を3つ紹介します。

    大学卒業ができなかった場合

    これが、学生側の都合で1番多い内定取り消しの条件です。

    新卒の内定においては、ほとんどの企業の場合、大学卒業が前提とされています。

    そのため、単位が足りなかったなどの理由で卒業ができなかった場合は、内定取り消しが認められます。

    「認められる」というだけで、確実に内定取り消しをされるわけではありません。

    入社時期を遅らせるなどの対処法もあるので、もし卒業できなかったとしても、企業にかけ合ってみてもよいかもしれません。

    怪我や病気で働くことが不可能な場合

    内定後に、就業が困難なくらいの病気や怪我をしてしまった場合、内定取り消しが認められます。

    そのため、一時的な風邪や怪我で内定取り消しがおこなわれることはありません。

    また、もし仮に就業が困難な状態だとしても、内定先の企業と話し合って、就業形態を交渉できる可能性もあります。

    まずは、企業に状況を説明するようにしてくださいね。

    経歴詐称や犯罪歴を隠していた場合

    業務に支障をきたすほどの経歴詐称や、犯罪歴を隠していた場合は、内定取り消しの対象です。

    学歴や経歴の詐称は、違法行為にあたります。内定者のときにバレなかったとしても、入社後にバレてしまった場合は退社を要求されるでしょう。

    会社からの信用を失わないためにも、嘘をつくことはやめてくださいね。

    内定取り消しが認められる場合:企業側の都合

    次に、企業側の都合で内定取り消しが認められる場合です。

    整理解雇の4要件に当てはまる場合

    企業側の都合で内定取り消しが認められるのは、新型コロナウイルスの影響の際にもお伝えしましたが、基本的に企業の業績が悪化した場合です。

    過去の事例を見ると、厚生労働省の定める整理雇用の4要件の全てに該当すると、内定取り消しが認められます。

    (参照:労働契約の終了に関するルール

    人員削減の必要性がある

    不況や経営難によって、企業の業績が悪化してしまい、現状の社員を抱えたまま会社を存続することが難しいと判断される場合です。

    この場合は、経営がどの程度悪化し、どの程度人員削減をする必要があるのかを客観的に説明しなければいけません。

    もし数字の根拠もなしに説明をして来なかったら、内定者には説明を求める権利があります。

    解雇回避の努力をした

    整理解雇の必要性があっても、社員が自社で勤められるようにどれだけ努力したかで判断されます。

    その努力は、例えば以下のようなものです。

    • 労働者を他部門に配転
    • 希望退職者の募集
    • 役員報酬をカット
    • 賞与の停止または減額
    • 残業の規制
    • 新規採用そのものの停止

    採用内定者の内定取り消しをおこなう場合は、まず社員にこのような措置をおこなう必要があります。

    もし、これらの経費削減をおこなわずに内定取り消しをおこなってると感じたら、不当解雇の可能性もあるので、労働局に相談しに行ってみてくださいね。

    解雇する人材を合理性に判断した

    整理解雇の対象となる人材を選ぶ際は、合理的かつ公正な判断のもとで選定する姿勢が求められます。

    つまり、これまでの貢献度や業績を上げているかという観点から、今後の会社に必要な人物かどうかを合理的に判断する必要があるということです。

    これは内定者自身には関係のないことかもしれませんが、これらの措置が取られたあとに、あなたの内定取り消しが議論される流れになります。

    解雇手続きを妥当におこなった

    整理解雇をおこなう際は、解雇する相手と労働局に、解雇の原因とその必要性についてしっかり説明する必要があります。

    また、その後の就職サポートも交渉する必要があります。

    そのため、もし何の説明もなしに、企業都合での内定取り消しがあり、その後のサポートもない場合は、違法だといえるでしょう。

    内定取り消しになったら、どうしたらよいの?

    最後に、実際に内定取り消しの通知を受けてしまったとき、どのように対処すべきなのかをお伝えします。

    急に内定取り消しの連絡が来たら、焦って何からしたらよいのかわからなくなってしまいますよね。

    もう一回就活をしなければいけないのか…と落ち込んだり、その企業に対して怒りが込み上げてきたり…。

    しかし、冷静に対処すれば、意外と丁寧な対応をしてくれる企業もあるかもしれません。

    以下の手順で、焦らず対処していきましょうね。

    ①内定取り消しの理由を説明してもらう

    まずは、なぜあなたが解雇されなければいけないかをしっかり説明してもらいましょう。

    先ほども紹介した整理解雇の4要件に全て当てはまったうえで、あなたが内定取り消しを承諾してはじめて、内定取り消しが成立します。

    そのため、今の企業の業績や経営状況など、数字の根拠も見せてもらってから、内定取り消しに合意するか判断してください。

    「企業が言ってることだから絶対に守らなければいけない」と考えるのではなく、数字を見て、自分で決めましょう。

    このときに、しっかり説明してくれない、数字の根拠も出してくれないような企業は、違法な内定取り消しをおこなっているので、しかるべき対処をしてください。

    違法な内定取り消しへの対処は最後に紹介しているので、そちらをチェックしてください!

     

    ②大学のキャリアセンター、ハローワークに相談する

    資料を見ても、内定取り消しの妥当性が判断できないという場合は、その説明資料を持って、大学のキャリアセンターハローワークに相談しましょう。

    もしかしたら、内定を取り消そうとしている企業に詳しい事実確認をしてくれるかもしれません。

    自分一人では抱えきれない場合には、周りの大人に助けを求めてくださいね。

    ③落ち着いたら、就活を再開する

    一度就活が終わったのに、もう一度やらなければいけないなんて、とても大変なことだと思います。

    しかし、内定取り消しの妥当性が判断されてしまった以上、どうにか次の就職先を探さなければいけないのです。

    キャリアセンターやハローワーク、内定取り消しをおこなってきた企業からの支援があるはずなので、まずはどのような支援を受けられるかを確かめましょう。

    ここで「人生終わりだ…」と落ち込むのではなく、少しずつ前向きに就活をしていきましょう。

    違法な内定取り消しの場合:労働基準監督署に相談する

    最後に、違法な内定取り消しをされた場合の対処法をお伝えします。

    1番は、各都道府県にある労働局や、全国の労働基準監督署内にある「総合労働相談コーナー」で専門家に相談するのがよいでしょう。

    専門の相談員さんが、電話や面談で相談にのってくれます。

    合理的な理由がなく、違法に内定取り消しをされた場合は、損害賠償を請求できたり、4月から支払われるはずだった給料を請求したりなど、相応の対処をすることができます。

    ためらわずに、一度相談してみるとよいでしょう。

    まとめ:内定取り消しは合意なしでは成立しない!

    今回は、内定取り消しとはそもそもどのようなものなのか、内定取り消しが認められる条件は何なのかを紹介しました。

    新型コロナウイルスの影響で企業の業績が不安定になっており、内定取り消しの被害に合うのではないかと不安に思う就活生も多いと思います。

    しかし、内定取り消しは、あなたと企業のどちらも合意が取れてはじめて成立するもので、一方的なものではないと覚えておいてください。

    もし、自分にその可能性があるかもしれないと思うなら、思い切って採用担当に聞いてみるとよいかもしれません。

    WANABI
    編集部
    企業都合の内定取り消しは、あなたに非はありません。そのことを理解して、あなたを採用してくれる企業は他にもきっとあるはずです。
    少しずつ前向きに就活を進めていきましょう。

     

     

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