就職活動を始めるにあたって、多くの学生が不安を抱えるものの1つに、エントリーシートが挙げられます。
名前は聞いたことがあるものの、実際何を書くのか分からないという人もいるのではないでしょうか。
エントリーシートは、選考初期の段階で提出を求める企業も多く、あなたの第一印象を左右するとても重要なものです。
その後の選考に直結する、というと身構えてしまう人も多いと思いますが、裏を返せば、よいエントリーシートを書くことができれば、あなたの就活の成功率はぐっと高まるということです。
この記事では、エントリーシートの説明から作成時の注意点までしっかりと解説しています。
「企業によい印象を持ってもらいたい」
「エントリーシートを通して自分のよさをアピールしたい」
そんなあなたは、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
エントリーシートで周りに差を付けることができれば、きっと就活が有利に進むはずです。
エントリーシートってそもそも何?
就職活動の最初のステップとして登場することも多いエントリーシート。
では、そもそもエントリーシートとはどのようなものでしょうか?
書き方や注意点をお伝えする前に、エントリーシートそのものについて説明します。
エントリーシートってなに?
エントリーシートとは、就職活動中に企業へ提出する書類の1つです。
企業が就職希望者に提出させる人物調書。学歴・職歴・取得資格など通常の履歴項目のほかに、自己PR、志望動機など独自の質問について記入させる。ES。
[補説]平成3年(1991)ソニーが初めて採用したといわれる。オープンな方法として急速に広まった。引用:goo辞書
頭文字をとってESとも呼ばれます。
内容は企業によっても様々ですが、主にその企業が採用活動をするうえで参考にしたいことが聞かれる傾向にあり、その後の面接などで参考資料になるケースもあるようです。
書類審査として選考の初期段階での提出を求める企業が多いため、エントリーシートを適当に書いたばかりに面接や筆記試験に進めなかった、なんていうことも。
文字数やフォーマットは企業によって大きく異なるので、エントリーシートを書く際は項目や文章量を忘れずにチェックしましょう。
編集部
特に倍率の高い企業を受ける方は、エントリーシートの対策はしっかりしておきましょう!
エントリーシートはどこでもらえる?
エントリーシートは履歴書とは違い、本屋や文具店などで購入することができません。
基本的には企業説明会などで直接配布されるか、インターネットからダウンロードし、自分で印刷をします。
企業から提出を求められていたにもかかわらずエントリーシートを書かなかった場合は、選考を受けることができません。
事前に要項や入手方法はしっかり確認しておきましょう。
また、万が一記入に失敗したり、紛失したりした場合に備えて、配布された原本のコピーを取ったり、多めに印刷しておくと安心です。
エントリーシートを書く前に
エントリーシートを入手したら、いよいよ記入に進みます。
いきなりペンで書き始めてしまうのではなく、まずは書く前の注意点を確認しましょう。
書く前の準備
エントリーシートの記入にあたり、まず注意すべきなのは筆記用具です。
鉛筆で下書きをした上から、黒色のボールペンか万年筆で丁寧に記入しましょう。
書類がおかれる環境によってインクが消える恐れのある消せるボールペンや、見栄えが悪くなる修正液の使用は基本的にNGです。
もしも途中で間違えてしまった場合は、もう一度初めから書き直すのがベスト。
どうしても書き直せない理由がある場合は、二重線で文章を消したうえで、訂正印を押してください。
訂正印はシャチハタではなく認印を使うのがマナーです。
ただし、基本は初めから書き直すのがマナーですので、よほどの理由がない限り新しい用紙にもう一度書くようにしましょう。
また文章についても、一人称は男女ともに『私』を使うようにしてください。
文体は「です・ます調」「だ・である調」のどちらでも構いませんが、必ずどちらかに統一するのがマストです。
「バイト」「インカレ」といった略語についても、「アルバイト」「インターカレッジ」としっかり正式名称で記載するようにしましょう。
基本情報を書くときの注意点
- 日付
基本情報欄の上に日付を記載する場合は、提出日かその前日の日付を記入しましょう。
西暦か元号かはエントリーシート内で統一するようにしてください。
- 顔写真
エントリーシートに貼る写真は、はがれてしまった際に誰の写真か判別できるよう、写真の裏面に氏名と大学名、学部を記入してください。
また、エントリーシートの書き損じに備え、写真を貼るのは最後がベターです。
- あなたの情報
氏名のふりがなは「ふりがな」と書かれている場合はひらがなで、「フリガナ」と書かれている場合はカタカナで書いてください。
誕生日が近いなど、年齢の欄に迷った場合は、送付時の年齢を書いて構いません。
連絡先については、電話番号は日中繋がりやすい携帯電話の番号を書いてください。
固定電話を持っていない場合は、携帯電話の番号のみでも支障はありません。
メールアドレスは「0」(ゼロ)と「o」(オー)などの似た記号や、アルファベットの大文字と小文字が判別できるよう、意識して記載するようにしてください。
- 印鑑
また、印鑑を押す場合は、スタンプ印ではなく、朱肉を使って押すようにしましょう。
企業への応募書類に使う写真については、別の記事で詳しく紹介していますので、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
エントリーシートと履歴書の違い
ここまで見ると、「まるで履歴書みたい...」と思う方もいるのではないでしょうか?
エントリーシートも履歴書も、選考の初期段階で企業から提出を求められることの多い応募書類であることに違いはありません。
では、エントリーシートと履歴書は何か違うのでしょうか?
ここでは、この2つの関係について徹底的に解説します。
エントリーシートと履歴書はまったくの別物!
一見違いのわからないエントリーシートと履歴書ですが、実は内容も目的もまったく異なる別物なのです。
内容や目的など、それぞれの特徴を整理して、どこが違うのか見てみましょう。
エントリーシートの特徴
まずはエントリーシートの特徴です。
先ほども書いたとおり、エントリーシートは学生の人柄を見て採用の参考にするための書類です。
しかし企業によってさまざまな形式があることからもわかるように、そこに公的な要素はありません。
質問項目を通して学生が熱意や将来の可能性をアピールする、いわば自分自身を売り込み、企業に魅力を感じてもらうための書類です。
そのため、エントリーシートは志望動機や自己PRなど、大きな枠をとって自由に回答してもらう形式が一般的です。
履歴書の特徴
エントリーシートが自分を自由に売り込む書類だとすると、履歴書は個人の基本的な情報や今までの経歴、資格やスキルを伝えるための書類です。
企業ごとに特色を見せるエントリーシートとは違い、履歴書はJIS(日本工業規格)という規格に基づき販売されています。
どのメーカーの履歴書を選んでも記載する内容はほとんど変わりませんが、企業によっては大学指定の履歴書を求められる場合もあるので注意しましょう。
志望動機や自己PRといった、エントリーシートに通ずる項目もありますが、エントリーシートに比べて枠は小さく、簡潔に記載する必要があるのも大きな違いだと言えます。
また、履歴書は人事データとしても扱う公的な書類であることも忘れてはなりません。
記載事項に虚偽の内容が含まれていた場合は、「私文書偽造」の罪に当たり、不採用や解雇の原因にもなりますので、記入は特に慎重に行いましょう。
同じ内容を書いてもOK!?
エントリーシートと履歴書の違いについて、少しはイメージができたのではないでしょうか。
とはいえ、志望動機や自己PRといった共通の部分の記入には悩んでしまいますよね。
「全く同じ文章にするのは気が引けるけど、かといって全然違うことを書くのも...」なんてうろたえてしまう人も多いはず。
ですが実は、エントリーシートと履歴書で共通する項目がある場合、同じ内容を書いてもOKなんです!
ポイントは、内容は変えずに文章を変更すること。
前述したとおり、エントリーシートと履歴書では使用する目的が違うので、共通する項目の内容が重複していても問題はありません。
とはいえ、まったく同じ文章になってしまうと手を抜いた印象を与えてしまうので、一言一句同じ文章を書き写すのはやめましょう。
エントリーシートには詳しく記載し、履歴書には要約して簡潔にまとめるなど、それぞれの書類の特徴に合わせてかき分ける必要があります。
また、同じアピールポイントや結論を話す場合でも、そこにまつわるエピソードや具体例を変えて、多方面から自分をアピールすることができればベストです。
履歴書だけを提出する場合の注意点
先ほど、エントリーシートは詳しく、履歴書は簡潔にとお伝えしましたが、例外となる場合もあります。それが、履歴書のみの提出を指示された場合です。
企業によっては、エントリーシートは提出せず、履歴書だけを提出するケースもあります。
こういった場合、企業はあなたの履歴書だけを見て人となりや熱意を判断しなければなりません。
エントリーシートを提出しない企業に対しては、履歴書内の志望動機や自己PRといった項目をしっかり書き込むようにしましょう。
エントリーシート作成時に意識するべき3つのこと
エントリーシートと履歴書との違いがかなり明確になったのではないでしょうか。
改めてエントリーシートの内容についてわかったところで、次はエントリーシートを作成する際の注意点について紹介します。
自己分析・企業研究は徹底的に
「エントリーシートに何を書いたらいいかわからないんです」という学生に多いのが、企業や自分について何も知らない状態で書き始めようとしている場合です。
自分がどんな人物なのか、企業が求める人材はどんな人なのか、それがわかっていなければ企業に自分をアピールすることはできません。
「この質問から、企業は何を知りたいのか」
「自分のどんな面をアピールすればよいのか」
この2つをしっかり考えて書かれたエントリーシートは、企業によい印象を与えるだけでなく、その後の選考を有利に進めることができます。
そのためにも、まずはエントリーシートを送付する企業のこと、そして自分自身のことを知らなければなりません。
企業研究と自己分析をしっかりおこなったうえで、エントリーシートの執筆に臨みましょう。
最初に結論を述べる意識
エントリーシートは詳しく書くもの、と先ほどお伝えしましたが、長く書くことと詳しく書くことは違います。
むしろ詳しく書く必要があるからこそ、わかりやすさを意識した文章にしなければなりません。
そこで意識してほしいのが、結論を最初に述べる、ということ。
「私が貴社を志望する理由は〇〇です。」のように、短く簡潔な文章から始めると、読み手が混乱することなく読み進められます。
長くだらだらとした文章は、「結局何が言いたいの?」という読み手の負担になり、読むのをやめられてしまう可能性もあります。
また、書く内容の順番としては、「結論→理由→例→結論」の順で書くのがよいでしょう。
この方法は「PERP法」とも呼ばれ、ビジネスにおいてもよく使われる文章術です。
最初に結論を述べ、最後にもう1度結論で締めくくることで、ぐっとわかりやすい文章になります。
また、書き終わった後は誤字脱字などのチェックも忘れずにしましょう。
ミスは1つもないように
当たり前のことかもしれませんが、誤字脱字のないように気をつけましょう。
人事は、まずエントリーシートからどのような人柄なのかを推測するので、誤字があると「社会人としての最低限のマナーがない」と思われてしまう可能性があります。
そこまでではなかったとしても、「エントリーシートで詰めが甘いなら仕事でも…」というように、あなたの印象がどんどん悪いほうに傾いてしまうかも。
このようにならないように、誤字脱字チェックをしっかりできるくらいに締切に余裕を持って執筆をするようにしてください。
就活生なら押さえておきたい!エントリーシートで聞かれる質問
さて、書く際の注意事項について説明したところで、次はいよいよ質問への答え方について解説します。
エントリーシートの質問内容は企業によってさまざまですが、その中でも定番の質問がいくつかあります。
ここではそのうちいくつかを紹介しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
自己PR
エントリーシートで聞かれることの多い項目として、まず挙げられるのが自己PRです。
自己PRでは、自分はどんな人間なのか、どういった長所があるのか、どんなことをしてきたのかを書いて、企業に自分をアピールする必要があります。
読み始めてすぐ内容が伝わるように、
「私の長所は〇〇なところです」
「私は大学で△△をしています」
など、簡潔な文章から始めるとよいでしょう。
また、具体性を高めるために過去のエピソードは必要不可欠ですが、ただの事実の列挙にならないように注意が必要です。
なぜその行動をとったのか、そうしようと思ったのかなど、エピソードの背景や理由も含めて説明できると内容に深みが出ます。
長所だけでなく、自分の短所やこれからどうなりたいかなどの話も織り交ぜると、謙虚で向上心がある印象を与えることができますよ。
志望動機
自己PRと同様、志望動機もエントリーシートで質問されることがほとんど。
志望動機では、会社を選んだ理由や学生の熱意はもちろん、その企業のことをちゃんと理解した上で志望しているのかもチェックされています。
自分の思いを綴るのに夢中で、会社理解が疎かにならないよう、気を付けて下さい。
相手の企業の商品や事業について具体的な話ができると、きちんと理解していることが伝わりやすいです。
企業のことをしっかり理解していると伝えたうえで、「ここでなければならない理由」を明示できれば、他の就活生より1歩リードできること間違いなし。
また、「その企業で成長したい」という思いばかりを述べるのではなく、「その企業に貢献したい」という思いも忘れずに伝えると、自己中心的だという悪印象を抱かれにくいです。
締めくくりには自分の将来へのビジョンを示し、仕事への意欲やなりたい未来像をアピールしましょう。
学生時代について
「ガクチカ」とも略される、「学生時代に力をいれたこと」の項目も、就活生にとって悩ましい質問の1つです。
「企業に言えるようなことなんて何もない...」と落ち込んでしまう人もいるのではないでしょうか。
実はこの項目、何も留学やボランティアなど、特別な活動に限る必要はないのです。
企業がこの項目を通して知りたいのは、学生の人柄や物事に取り組むときの姿勢。
サークル活動やゼミ、アルバイトなど、どんな分野でも構いません。あなたなりに頑張った経験を書いて、自分をアピールしましょう。
何か目標を立てて成果を出したり、起こっていた問題に取り組んで解決したりした経験がある場合は、背景やその時の感情、どう成長したのかをぜひ書いてみてください。
「この人は真剣に物事に取り組んで成果を出した経験があるから、きっと仕事でもそうなんだろうな」という印象を持ってもらうことができれば、そのエントリーシートは大成功です。
【番外編】会社ごとの独特な質問集
ここからは番外編として、企業ごとの独特な質問を紹介します。
多くの企業は先ほど紹介した質問のみなのですが、アイデア力や企画力を試すユニークな質問をする企業もあります。
主にメディア業界(テレビ・新聞、出版など)で、毎年面白い質問が出されるので話題になっていますね。
実際の質問をいくつか紹介します。
- 一枚の写真と説明文で「自分」を表現してください。吹き出しにはあなたの「決めゼリフ」を入れてください。
- あなた自身が写っている写真を1枚使って、あなたの「喜・怒・哀・楽」いずれかを紹介してください。フキダシには紹介コメントを簡潔に書いてください
- あなたの人生に影響を与えた本の作品と著者名、その本を他人に紹介する推薦文をお書きください。
- あなたが今一番会いたい人物と、聞いてみたいことは何ですか?
急にこのような質問が来たら、どのように答えるべきか迷ってしまいますよね。
これらの質問の回答のポイントは、人事の方が「会いたい!」と思うようなエピソードを書くことです。
変わった質問だからこそ、あなた自身の価値観がより表現されやすくなります。アイデアや企画が苦手という方も、「自分を1番魅力的に見せるにはどうしたらよいか」を考えると、なにか浮かぶかもしれませんよ。
編集部
「あなたの人生を1つの物語として、あらすじとタイトルを考えてください」
という質問がESにあって、とても考え込んでしまった思い出があります…笑
まとめ:エントリーシートはあなたをアピールする大切な書類!
エントリーシートや作成時のコツについて説明してきましたが、いかがでしょうか。
- エントリーシートとは、企業に自分をアピールするための重要な応募書類
- 履歴書とは全くの別物で、それぞれに特徴がある
- 「この質問を通して企業は何を知りたいのか」を理解することで、好印象を与えるエントリーシートを書くことができる
この3点を理解したうえで、エントリーシートの執筆に臨んでみてください。
多くの就活生が苦手意識を持っているエントリーシートですが、その分正しく理解して書けば周りの就活生から大きくリードすることができます。
ぜひこの記事を参考にして、あなたの就活のスタートダッシュをよりよいものにしてください。