内定おめでとうございます。
この記事を読んでいるということは、どこかの企業から内定を得たのだと思います。まず、そのことに対して祝福を送らせてください。
しかし、内定をもらった嬉しさと同時に
などの疑問を抱えているのだと思います。
実は私も就活生のときは同じような悩みを抱えていました。今でこそある程度の文章を書けるようになりましたが、就活生のときはどのような文章を書けば失礼にならないかまったくわからなかったのです。
そこで、今回はあなたがスッキリ内定辞退できるように、内定辞退の手紙を書くときのポイントとその例文をご紹介しようと思います。
内定辞退の手紙を送るべき3つのパターン
基本的に内定辞退は電話で伝えるものです。そのため、全ての内定辞退を手紙で伝える必要はありません。内定辞退を手紙でおこなうべきなのは次のようなパターンに限られます。
- 内定承諾をしたあとに辞退する場合
- 辞退する企業が知人からの紹介である場合
- 礼儀を重んじる企業の内定を辞退する場合
これらについて詳しく説明していくので、ぜひポイントを押さえてください。
内定承諾をしたあとに辞退する場合
内定承諾したあとの辞退は必ず手紙を送りましょう。その目的は次の2つです。
- 承諾後に辞退したことへの謝罪の意をしっかり表すため
- 大きなトラブルになるように証拠を残すため
まず、承諾後に送る辞退の手紙には謝罪の意味合いが強く含まれています。
採用担当も内定承諾をしてもらい、一安心しているにもかかわらず、いきなり辞退の連絡がくると大きなショックを受けてしまいます。
もちろん、内定辞退は悪いことではありませんが、誠意をみせるという観点から辞退の手紙を送るのがマナーでしょう。
さらに、手紙を送るのは自分の身を守るためにも重要です。過去には内定承諾後の辞退をめぐって裁判が起こったこともあり、適当に辞退をしてしまうと予期せぬトラブルに出会う可能性があります。
内定辞退の連絡を電話だけにしてしまうと、トラブルが起こったときに言った言わなかったの水掛け論になってしまう可能性があるので、必ず手紙を送るようにしましょう。
ちなみに法律的にいうと、内定辞退の期限は入社2週間前です。内定辞退の時期に関してさらに知りたい方は以下の記事を読んでみてはいかがでしょうか。
辞退する企業が知人からの紹介である場合
辞退する企業が家族や教授などの知人から紹介されたところである場合も、手紙で内定辞退をしたほうがよいでしょう。知人に迷惑がかかるからです。
もちろん内定を手にしたのはあなたの力です。しかし、それでもあなたが雑に内定を辞退してしまうと、企業と紹介してくれた人との関係に悪い影響を与えてしまう可能性があります。
そうなるとあなたの信用もなくなってしまいますし、あなたの後輩が紹介をもらえなくなる可能性も出てきます。
そのため、知人に紹介してもらった企業の内定を辞退するときは必ず手紙を送り、謝罪の意を見せましょう。
礼儀を重んじる企業を辞退する場合
伝統がある企業や老舗といわれている企業など、礼儀を重んじる企業の内定を辞退するときも手紙を送ったほうがよいでしょう。
そのような企業は内定を辞退するなど何か大切なことを伝えるときには、手紙を送るのが当然だという風習があります。
そのため、内定辞退を伝えるのが電話だけだと、礼儀がなっていないと思われる可能性があります。
「どうせ内定を辞退するから礼儀がなっていないと思われてもいいや」と考える方もいるかもしれませんが、それは危険です。
あなたが社会人になったとき、その企業があなたのクライアントになる可能性はゼロではありません。その場合、礼儀がなっていないという印象を持たれ、損をしてしまいます。
また、あなたの対応が同じ大学、同じ団体の後輩の印象に悪い影響を与えるかもしれません。
以上のことから礼儀を重んじる伝統的な企業には、しっかりと内定辞退の手紙を送り、誠意を見せるのが無難でしょう。
内定辞退の手紙を書く前に電話をしよう
「内定辞退の手紙を書くべきパターンは押さえられたし、よし書きはじめよう」と思ったあなた。手紙を送るのはちょっと待ってください。
内定辞退の手紙を出す前に、電話で辞退する意思を伝えましょう。内定辞退の連絡は基本的に電話でおこないます。そのため、手紙を送るからといって電話を省いてもよいわけではありません。
また、手紙は書いてから届くまでに時間がかかってしまいます。最終選考の結果を待っている補欠枠の学生もいるので、辞退すると決めた場合はなるべく早く連絡をするのがマナーです。
そのため電話を先にして、さらに誠意を伝えるために手紙を送るという手順を踏むようにしてくださいね。
電話で内定辞退するときのポイントをまとめた記事を下に載せておくので、気になる方は読んでみてくださいね。
内定辞退の手紙を書くときに意識する4つのポイント
では、実際に内定辞退の手紙を書くときのポイントをご紹介します。
- 原則手書き(ボールペン)で書く
- 便箋は縦書きで無地のものを選ぶ
- クッション言葉を用いる
- 修正は二重線に印鑑
これら4つは手紙を書くときの基本として押さえておいてください。より詳しく解説していきます。
原則手書き(ボールペン)で書く
まず、内定辞退の手紙は手書きが基本です。理由は次の2つです。
- 手書きのほうが誠意が伝わりやすいから
- 筆跡を証拠として残すため
お世話になった人や大好きな友達への手紙は手書きで書くことが多いのではないでしょうか。それは手書きのほうが感謝の気持ちが伝わりやすいからだと思います。
内定辞退の手紙も同じです。手紙の目的はお世話になった採用担当への感謝と辞退することへの謝罪なので、手書きで書くことで誠意を伝えましょう。
また、先ほどもお伝えしたように手紙にはトラブルを避ける目的もあります。もし、裁判になることなどがあれば、筆跡は判決を左右する証拠になるので手紙は必ず手書きで書くようにしましょう。
そして、内定辞退を伝えるような正式な文書には黒のボールペンを使うのがマナーです。誤字や脱字が不安な方はシャーペンや鉛筆で下書きしても問題ありませんが、清書はペンで書いてください。
便箋は縦書きで白色&無地のものを選ぶ
どのような便箋を買うか迷う方もいると思います。便箋は縦書きで無地のものをおすすめします。
日本では儀礼的な社交文章は縦書きで書くのがマナーだからです。年賀状なども縦書きで書かれることが多いですよね。
横書きの文章は家族や友人などの親しい関係性の人に送るぶんには問題ありませんが、内定辞退の手紙では避けたほうがよいでしょう。
また、内定辞退の手紙には白色で無地の便箋を使うのがマナーです。白以外の色のものや柄が入ったものはマナーがないと思われるリスクがあります。
修正は二重線に印鑑
公的な文章を書くときに、修正液や修正ペンを使ってはいけないと言われたことがあるのではないでしょうか。
内定辞退の手紙は公的な文章ではありませんが、公的な文章くらい真剣に書いているのを伝えるために修正液や修正ペンを使わないのがマナーです。
もちろん間違えないように下書きするなどの工夫をしたり、間違えたらもう一度書き直したりするのが一番丁寧ですが、それが面倒だなと思う方は修正するところに二重線と印鑑を押して、正しい言葉に書き直しましょう。
印鑑は実印(自治体に登録してある印鑑)でも認印(自治体に登録していない印鑑)でも構いません。押した印鑑を覚えておくとトラブルがあったときも安心です。
クッション言葉を用いる
実際に内定辞退の手紙を書くときに重要なのはクッション言葉を使うことです。クッション言葉とは、そのまま伝えてしまうと相手を不快にしてしまう言葉の前に沿える言葉です。
内定辞退は企業にとって残念な連絡なので、クッション言葉を添えておくのがマナーになります。
具体的に以下のようなものがクッション言葉です。
- 恐れ入りますが
- 申し訳ありませんが
- ご足労をおかけしますが
- お忙しいところ恐縮ですが
次の章で実際に内定辞退を伝える例文をご紹介するので、どこにクッション言葉が使われているか確認してみてください。
また、クッション言葉はビジネスシーンで頻繁に使われるので、今のうちに身に付けておくのがおすすめです。
内定辞退を伝える手紙の構成と例文
では、実際に内定辞退を伝える手紙の構成と例文をご紹介します。まず、構成は以下のようにしましょう。
①拝啓
②時候の挨拶
③内定への感謝
④内定辞退の宣言
⑤内定辞退への謝罪
⑥お世話になったことへの感謝
⑦企業の発展の祈願
⑧敬具
⑨日付(和歴+月+日)
⑩署名(学校+学部+年+氏名)
⑪宛名(企業名+部署名+氏名)
※担当人事の氏名がわからない場合は(企業名+部署名+採用担当+御中)
①拝啓
②新緑の候、貴社におかれましてはますますのご清祥のこととお喜び申し上げます。
③先日は内定のご連絡をいただき、身に余る思いでございます。誠にありがとうございました。
④先に電話でもお伝えしましたが、このたびは誠に勝手ながら内定を辞退いたします。最後の最後まで考えましたが、最終的には他社に入社することを決意いたしました。
⑤こちらの勝手な都合でご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。
⑥また、お忙しいなか、大変お世話になりました採用担当の方々に心から感謝申し上げます。
⑦最後になりますが、貴社のますますのご発展を願って締めの挨拶といたします。
⑧敬具
⑨令和〇年〇月〇日
⑩〇〇大学〇〇学部〇年 谷川清健
⑪株式会社〇〇 採用担当 〇〇様
内定辞退の手紙を送るときの注意点
内定辞退の手紙の書き方は理解できたでしょうか。最後に内定辞退の手紙を企業に送るときの注意点についてご紹介します。注意点は以下の6つです。
- もう一度文章を読み直す
- 封筒は白色で3つ折りができるものを選ぶ
- 封筒の表に宛先をできるだけ細かく書く
- 封筒の裏に住所、氏名、日付を書く
- 封筒の封の部分に「〆」を書く
- 切手の値段を間違わないようにする
手紙を頑張って書いたにもかかわらず、不備があるともったいないので、提出する前に細かいところを確認してから提出するようにしましょう。
もう一度文章を読み直す
まず、書いた文章を読み直すようにしましょう。もしかすると誤字や脱字があるかもしれないからです。
文章のなかに誤字や脱字があると真剣に書いていないと思われてしまいます。せっかく一生懸命書いたにもかかわらず、そのように思われるのはもったいないですよね。そのため、必ず誤字がないか確認してください。
以下の3つはおすすめの「誤字・脱字チェック法」です。ライターもこれらで誤字・脱字がないか確認しているので参考にしてみてください。
- 音読する
- 人に読んでもらう
- 時間を空けて再度確認する
封筒は白色で三つ折りできるものを選ぶ
封筒のサイズも迷うところだと思います。封筒は白色のもので便箋が三つ折りできるものをおすすめします。
白色である理由は、便箋と同じで企業の方にマナーがないと思われるリスクを減らすためです。
また、基本的に儀礼的な文書は三つ折りにして、封筒に入れることが多いです。そのため、封筒を選ぶときには便箋が三つ折りして入るかサイズかを確認しましょう。
封筒の表に宛先をできるだけ細かく書く
そして、封筒の表の宛名をもう一度確認しましょう。封筒の右端に住所を書くのは普通の封筒と変わりませんが、真ん中に「会社名+部署名+氏名」を書くのを忘れないようにしましょう。
ポイントは氏名まで書く点です。企業には毎日多くの郵便物が届くので、「会社名+部署名」だけだと郵便物を仕分ける人が困ってしまいます。
そのため、できる限り担当人事の氏名は書くようにしましょう。万が一、名前がわからない場合は「会社名 部署名 採用担当 御中」と書くとよいです。人事課には採用担当でない人もいるので”採用担当”を付け加えるのが重要です。
また、会社名や部署名は正式名称で記載しましょう。世の中で広く知られている企業名が略称であったり、部署名が人事部ではなく人材開発部であったりする場合が見受けられるからです。
細かいポイントですが、そのような丁寧さが誠実な印象をもってもらうために重要なのです。
封筒の裏に住所、氏名、日付を書く
自分の署名と住所に関しても念のため確認しておきましょう。
普段、手紙や封筒を送るときと同じように封筒裏の左端に書くのですが、内定辞退の手紙では「学校名+学部名+年次」を忘れないようにしてください。
また、書いた日を一番左に記入しておくと丁寧です。
面倒かもしれませんが、しっかり署名していないと誰から手紙がきたかわからず、手紙を出していないことになってしまいます。出す前にもう一度確認しましょう。
封筒の封の部分に「〆」を書く
そして、封筒に封をして、封の部分に「〆」と書きましょう。これは封字と呼ばれるもので、ビジネスシーンでは頻繁に使われています。
封字が書いてある封筒は、まだ誰も見ていないことを示しています。
封字は「締」でも問題ありません。ごくまれに「✕」と書かれているものがありますが、それは間違いなので気を付けましょう。
ちなみに、封をするときにテープを使う方もいますが、糊を使うのが正しいマナーなので覚えておいてください。
切手の値段を間違わないようにする
最後に切手の値段をしっかり確認しておきましょう。切手の値段はほとんどの場合、配達物の重さで変化します。
切手の値段が適切な値段でない場合、手紙を送っても自分の手元に戻ってきてしまいます。そうすると二度手間になってしまうので、封筒の重さを測って適切な値段の切手を貼りましょう。
基本的に最寄りの郵便局に行って切手を貼りたいといえば、封筒の重さを量って適切な切手をもらえるので郵便局に行くのがおすすめです。
もし郵便局に行くのが面倒だったり、手紙を送る日に郵便局がやっていなかったりするときは、自分で重さを量ってコンビニなどに切手を買いに行きましょう。
以下に郵便局が出している重さと値段の対応表が見れるサイトを貼っておくので参考にしてみてください。
まとめ:内定辞退を伝える手紙のポイントを押さえよう!
今回は内定辞退を伝える手紙の書き方をご紹介しました。せっかく内定をもらったのだから、どうせなら最後もよい印象を残してスッキリ次のステップに進みたいですよね。
そのためにこの記事では次の4つのポイントと手紙の例文をご紹介しました。
- 原則手書き(ボールペン)で書く
- 便箋は縦書きで無地のものを選ぶ
- クッション言葉を用いる
- 修正は二重線に印鑑
この4つのポイントと例文を参考に手紙を書いてもらえれば、ビジネスマナーから外れることはありませんし、企業の方から「やはり欲しい人材だった」と思ってもらえるでしょう。
あとはあなたがどれだけ気持ちを込めて丁寧に書けるかが重要になってきます。
あなたが心を込めて、素敵な手紙を書けるのを願っています。