就活の時期になると、
「内定が欲しい」
「○○社から内定が出た」
なんて言葉をよく耳にしますよね。
ですがそもそも、内定とはなんでしょうか?
なんとなく、その会社から雇ってもらえるということ、なんて漠然とした認識を持っている人も多いはず。
その認識も間違っているわけではないのですが、法律上の決まりもあります。
また、「内々定」という言葉も聞いたことがあるかもしれません。内定と内々定は何が違うのでしょうか?
内定をもらってからうろたえないためにも、今のうちから内定について正しい知識をつけておきましょう!
内定とは?内々定とはどう違う?
まずはじめに、内定の意味についてお話しします。
就活をしているけれど、実は内定と内々定の違いもよくわかっていない、なんて人もいるのではないでしょうか?
企業との話の中で「知らなかった!」なんて焦らないように、この項目はしっかり読んでおいてくださいね。
内定=その会社で働ける
内定とは、入社日から労働の権利と義務が生じる、という事前の契約を指します。
ですので、企業から内定をもらったということは、「決められた入社日からうちの会社で働いてくださいね」と言ってもらえたという意味になります。
しかし正確には、内定は働くことについての両者の合意がある状態です。
企業から「うちで働いてください」という合格通知をもらい、あなたがそれを承諾してはじめて「内定」と呼ばれます。
その会社で働くことについて両者の意思を確認したうえでの労働契約が、本当の意味での内定なのです。
よく「内定が出た」と企業側から学生への通知のように話されますが、実際は学生側が内定承諾書を提出した段階ではじめて内定となるのです。
日常会話の中ではそこまで厳密に話すことはないかもしれませんが、知識として知っておいて損はありません。
内定の目的は「採用予定の通知」
では、そんな内定の目的は何なのでしょうか。
内定の1番の目的は、「あなたは〇月からうちで働いてくださいね」という確認です。
採用が決まってからは、企業なら人事の手続き、学生なら大学への届け出や引っ越しなどの準備があります。
内定とは、採用が決まっている学生と企業の関係性を明確にし、両者が入社にあたっての準備を進めるためのものです。
また、内定という形で両者の状態を明確にすることで、確認事項などの連絡をスムーズにするという意味もあります。
内々定との違いは労働契約があるかどうか
就活の中では、「内々定」という言葉を耳にすることもあります。
この内々定と内定を混同してしまう学生も多いのですが、実はこの2つには明確な違いがあるのです。
その判断基準が、労働契約が成立しているかどうか。
内々定とは、まだ正式には契約をしていない、口約束を指す場合がほとんどです。
書面を伴わない「君をうちの会社に採用する予定だよ」という口頭の連絡は、あくまで内々定であり、正式な内定ではありません。
また、内定は正式な雇用契約であるため企業は簡単には取り消しができませんが、口約束の内々定であれば無条件で取り消すことが可能です。
とはいえ、内々定であっても不用意に取り消すことは企業の信頼に関わるため、軽々しく内々定を取り消す企業はそう多くありません。
企業から内々定がでた場合は、素直に喜んで大丈夫ですよ。
企業が内定や内々定を取り消す場合については、後ほど詳しく解説します。
内定が取り消されてしまうことも
内定取り消しという話を聞いたことがあるかもしれません。
基本的に、
「間違えて人数を多く取りすぎてしまったから」
「やっぱり気が変わってしまったから」
など企業側の勝手な都合で内定を取り消しされることは無いですが、あなたの内定が取り消しされる可能性もゼロではありません。
ここからは、内定が取り消しされてしまう4つの場合と、取り消しされてしまったときの対応についてお伝えしていきますね。
企業が内定を取り消す4つの場合
先ほども話した通り、企業側は正式な雇用契約である内定を簡単に取り消すことはできません。
ですが、企業側の内定取り消しが認められる場合も稀にあります。
ここでは、企業側の内定取り消しが認められるケースを4つほど紹介していきますね。
学生が留年してしまった場合
企業の内定取り消しが認められるケースの1つめが、学生が留年し、事前に伝えていた年度に卒業することができなくなった場合です。
実は、企業が内々定や内定を取り消す最も多い理由がこの「単位が取れなくて卒業できなかった」場合なんです。
この場合、なぜ内定が取り消されてしまうのでしょうか。
実は、内定通知には期限があります。
通常内定とは、卒業年の4月1日まで効力があるもので、その期限までに卒業ができないとなると、内定の期限が切れてしまうのです。
期限の切れた内定は無効になってしまうため、実質「内定取り消し」となります。
そもそも、留年してしまうと「入社日から働く」という契約を学生側から破ってしまっているわけですから、内定がなくなってしまうのも当然と言えば当然ですね。
就職活動も大切ですが、うっかり単位を落としてしまって卒業ができない、なんてことにならないよう、十分注意してください。
学生が健康上の理由で働けなくなった場合
内定が決まってから、学生が怪我をしてしまったり、病気が発覚した場合も、企業は内定を取り消しできます。
ただし、学生が病気ならなんでも内定を取り消せるというわけではありません。
たとえば半年に1回通院をすればよいという程度のもので、入社後の業務に支障がないのなら、内定の取り消しは難しくなるでしょう。
大きな怪我をしてしまって本来おこなうはずだった肉体労働ができなくなったり、長期の入院が必要な場合などに限り、企業は内定を取り消すことができます。
学生が犯罪を犯した場合
入社前に犯罪や、社会的に認められない行為をした場合も、企業から内定を取り消される恐れがあります。
犯罪を犯してしまった場合、たとえ不起訴になったとしても、企業からの内定取り消しは可能なので、注意が必要です。
また犯罪行為だけでなく、社会的に認められない行為をした場合も、企業側から内定取り消しを言い渡される場合があります。
とはいえ社会的に認められない行為、といわれても、ピンとこないですよね。
みなさんの身近にある「社会的に認められない行動」の例としては、SNSが挙げられます。
たとえばTwitterやYouTubeなどで迷惑行為の動画を投稿する、非社会的な発言をする、などです。
「それだけで?」と思う人もいるかもしれませんが、これまでにSNSでの投稿が原因で内定を取り消しになってしまったケースも実際にあります。
内定が決まったら、公の場での言動にはこれまで以上に気を付けるようにしましょう。
企業が倒産/経営状態が悪化した場合
また、学生の入社を受け入れることができないくらい企業の業績が悪化した場合にも、内定の取り消しが認められています。
経営が悪化したことによる内定取り消しの際には、内定の取り消しが企業の存続のために必要であるということをきちんと説明する必要がありますが、そういった理由で内定を取り消しにされたケースも存在します。
一方、経営が悪化するだけに留まらず、企業が破産・倒産した場合については、会社そのものがなくなってしまいますので、当然内定を取り消すことも認められています。
また、企業の経営状態が良好でなく、経営悪化や倒産が予め予想されていたにもかかわらず、企業側が故意にそれを隠したり、嘘をついたりした場合は詐欺の罪に問われることもあるようです。
そのため、企業側から業績について嘘を教えられる可能性は低いといえますが、念のため、その会社の業績や売り上げなど、可能な限りの情報は仕入れておくようにしましょう。
取り消されてしまったら「総合労働相談コーナー」へ
最初に書いた通り、企業側が内定を取り消しするケースは制約も多く、非常に稀です。
ですが、何らかの理由で内定を取り消される可能性もゼロではありません。
もしもあなたが内定を取り消されてしまったら、「総合労働相談コーナー」へ足を運んでみましょう。
そこでは弁護士や社労士(社会保険労務士)など、労働に関してのエキスパートが対応してくれます。
内定を取り消されてしまって総合労働相談コーナーへ出向く際には、企業との具体的なやりとりがわかる書面や、話した内容の記録、メールのデータなどを持参するようにしましょう。
総合労働相談コーナーは、各都道府県の労働局にありますので、ぜひ調べてみてくださいね。
総合労働相談コーナーは、全国の労働基準監督署内などの379か所にあります。
詳しくはこちらでご確認ください!
内定の辞退は無条件で可能
さて、企業側は内定取り消しが簡単にはできない、という話をしてきましたが、一方で学生側から内定を辞退する場合はどうなのでしょうか。
結論から言うと、学生側からの内定の辞退は無条件で可能です。
これは、日本の憲法で職業選択の自由が保障されていることに基づきます。
ですが、一度双方の合意で決めた契約を自分の都合で破棄するわけですから、謝罪の言葉など最低限の礼儀は必要不可欠。
ここでは、内定を辞退する際の注意点について解説していきます。
内定辞退が認められるのは入社日の2週間前まで
企業から内々定や内定をもらったけれど、やっぱり別の会社にいきたい、と思うことがあなたにもあるかもしれません。
その際、辞退の連絡は、いつまでに企業に伝えればよいのでしょうか。
法律上では、正式な契約である内定が決まっている場合でも、2週間前までに企業に伝えておけば辞退が認められます。
ですので、入社日を4月1日とすると、3月の下旬頃までに伝えれば法律上は問題ありません。
しかし、企業側も新卒社員の入社に向けて日々準備を進めています。
辞退の連絡については、なるべく早く伝えるに超したことはありません。
また、もしも内々定ではなく、内定承諾書の提出などが済んでいる「内定」の状態にある場合は、一度自分で伝えた承諾の言葉を覆すことになるので、誠意を持って謝罪の言葉を伝えるようにしましょう。
連絡は「すぐに」「電話で」
たとえ3月までまだ時間があるとしても、内々定、もしくは内定の辞退を決めた場合は、すぐに電話で連絡するようにしてください。
先ほども述べたとおり、企業はあなたの入社のための準備を日々進めています。
「やっぱり他の会社にしよう」と決断したら、すぐにでも電話をかけるのがベスト。
連絡は必ず電話でおこない、電話をかけた後に、改めて内容を記したメールを送信するようにしましょう。
内定辞退に関しては、「すぐに」「電話で」を意識してください。
また、たとえ入社しないとしても、あなたが社会に出たときに取引先などの形で関わる可能性もゼロではありません。
しっかり礼儀を尽くして、謝罪と感謝の言葉を伝えるようにしましょう。
辞退するときは理由も伝えよう
電話で辞退を伝える際には、理由も伝えてください。
企業側から聞かれない限りは、そこまで詳しく説明する必要はありませんが、「内定を辞退させていただきたいです」だけではやや不躾な印象になってしまいます。
簡単に内定を辞退するに至った理由を話し、評価してくれたことへの感謝と謝罪の言葉を添えるとベストです。
内定辞退の連絡方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
内定通知をもらった後の流れ
先に内定を辞退する場合の話をしてしまいましたが、反対に入社したいと考えている企業から内定をもらった場合は、どのような流れになるのでしょうか。
ここでは、企業から「あなたを採用したい」という内定通知をもらったあとの流れを順番に解説していきます。
入社までにどんなことがあるのか、しっかりと把握しておきましょう。
まずは内定承諾
まず、内定通知書が届いてから最初にするのは内定承諾です。
内定通知書が届いているのは、言わば内々定の状態。
あなたが企業に「入社します」という意向を伝えるための内定承諾書を提出することで、はじめて正式な「内定」の状態になります。
内定承諾書には提出期限がある企業や、保護者の署名を必要とする企業もあるので、その企業の指示に従い、規定通り提出するようにしましょう。
10月頃には内定式
多くの場合は、10月1日に内定式があります。
企業によっては10月ではなかったり、オンライン形式であったり、そもそも内定式がなかったりとさまざまなので、しっかり内定承諾時に確認をするようにしましょう。
内定式は、社長の話が聞けるだけでなく、同僚になる内定者仲間と出会える貴重な機会です。
ぜひ出席して、入社までのモチベーションを高めておきましょう。
内定式の詳細については、以下の記事を参考にしてください。
4月には待ちに待った入社
4月になると、いよいよ待ちに待った入社です。
入社日は企業によってさまざまで、また入社までにインターンという形で会社と関わることができる場合もありますが、ほとんどの新卒が4月の1日に社会人となります。
4月からは社会人として、労働の義務が生じるので、それまでに敬語やマナー、ビジネス用語などの勉強をしておくようにしましょう。
まとめ:内定は立派な労働契約!内々定との違いも押さえておこう
内定は就職活動の1つのゴールです。
ですが、目指すべきゴールがよくわからない状態では、そこへ向かって走ることはできません。
しかし一方で、労働契約という法律上の話が絡む内定について、しっかりと定義や詳細まで調べるのも至難の業。
そこでこの記事では、企業側から内定を取り消しされてしまう場合と学生側から内定を辞退する場合について、以下のように伝えました。
- 学生が留年してしまった
- 学生が健康上の理由で働けない
- 学生が犯罪を犯した
- 企業が倒産/経営状態が悪化した
- 基本は無条件で辞退可能
- 連絡は「すぐに」「電話で」
- 辞退理由と謝罪、感謝の言葉を忘れない
内定は1つのゴールではありますが、あなたの人生においては通過点の1つに過ぎません。
あなたが勝ち取った内定は、あなたが就活で頑張り抜いた成果です。
ぜひ後悔のない選択をして、素敵な社会人になってくださいね。