外資系企業という言葉を、みなさんも一度は耳にしたことがあるかもしれません。
外資系企業というと、「年収1000万円以上はあたりまえ」「電話もメールも英語必須で、バリバリ働いている」などのイメージを持つ人も少なくないと思います。
このようなイメージはおおむね合っていますが、すべての外資系企業に当てはまるわけではありません。
そもそも、外資系企業とはどのような企業を指すのでしょうか?
今回の記事では、
- 外資系企業とは一体どのような企業なのか
- 外資系企業と日系企業の違い
- 外資系企業に就職するために必要なスキル
などをわかりやすく解説していきます。
外資系企業に興味がある方、外資系企業を受けようか迷っている方はぜひご覧ください。
外資とは?外資系企業は3種類
そもそも外資とは、外国からの資本のこと。
つまり、外資系企業とは「日本以外の国から一定以上の出資を受けている日本の企業」を指します。
のちほど詳しくご紹介しますが、私たちにとって身近な企業が、実は外資系企業だったことはよくあるのです。
まずは、「外資系企業とは?」という疑問に対して、外資系企業を3つの種類に分けて紹介していきたいと思います。
海外企業の日本支社
「外資系企業」と聞いて、もっとも多くの人がイメージするのは、海外企業が日本に進出してきた場合の日本支社です。
以下のような企業が有名です。
- Amazon
- Apple
- P&G
- マッキンゼー・アンド・カンパニー
- ルイヴィトン
- マイクロソフト
- ZARA(株式会社ザラ・ジャパン)
名前がカタカナなのはもちろん、世界的にも有名な会社が多いので、外資系企業と聞くとまずはこのような企業が思い浮かぶ人も多いと思います。
海外に買収された元日系企業
日本で誕生した企業でも、外資系企業になることがあります。
最初にお伝えしたとおり、外資系企業とは外国から一定以上の出資を受けている企業のことです。つまり、海外の企業に買収されてしまった企業も、外資系企業に当てはまるのです。
有名な企業として、
- 株式会社すかいらーくホールディングス(ガスト・バーミヤン・しゃぶ葉などを経営)
- シャープ株式会社
などがあります。すかいらーくは名前だけを見ると「日系企業」だと思いますよね。
しかし実は、2011年に、アメリカの投資ファンド・ベインキャピタルが野村プリンシパファイナンスから買収したため、外資系企業なのです。
日系企業と共同出資の企業
外国の企業と日本の企業が共同で出資して企業を設立する場合もあります。その場合、外国企業のほうが出資率が高い場合(または一定以上の出資を受けた場合)は外資系企業になるのです。
共同出資でできた外資系企業としては、日本マクドナルドが有名です。
また、「味の素」で有名な味の素AGF株式会社も、共同出資の外資系企業になります。
外資系企業は私たちが思っているよりもずっと身近にある企業ということです。
外資系企業と日系企業との違い
ひとえに外資系企業といっても、
- 外国企業の日本支社である場合
- 外国企業に買収された場合
- 共同出資で設立された場合
の3種類あることをお伝えしてきました。
では、そもそも日系企業と外資系企業ではどのような違いがあるのでしょうか。ここからは、日系企業との違いを解説していきたいと思います。
外資系企業の方が年収が高い
外資系企業と日系企業との違いの1つ目は、年収の高さです。
「外資系は年収が高い」というイメージをお持ちの方も多いと思います。みなさんが想像されるとおり、外資系企業は平均年収が高い傾向にあります。
外資系企業の年収が高いとされる理由を大きく分けると2つです。
- 世界的な大企業だから(Amazon,Appleなど)
- 実力で評価されるから
日系企業でも、大手企業の方が中小企業よりも業績が安定していることが多く、基本給が高い傾向にありますが、世界的大企業となると桁違い。年収1000万も余裕で狙えるのが、外資系企業の特徴の1つです。
外資系企業は自由度が高い
外資系企業は、日系企業と比べて自由度が高いのも特徴です。
会社といえば、勤務時間は午前9時から午後17時(または18時)まで、お昼休憩は12時から13時の1時間というイメージはありませんか?
実は、このように「時間が決められている」のは日系企業の特徴で、外資系企業では多くの会社が勤務時間も自由。
通勤ラッシュを避けて遅めに出社しても良いですし、早めに出社して早めに帰るのも良いのです。
外資系企業は実力がすべて
先ほど、外資系企業の年収が高い理由の1つとして実力で評価されることをあげました。
外資系企業は実力がすべてです。年齢は関係ないので、入社したら上司が5歳年下だったこともあるそうです。みなさんが新卒で外資系企業に入社した場合は、数年後に年上の後輩を持つことになるかもしれませんね。
しかし、実力がすべてなので、後輩に追い越される可能性もあるということです。企業によっては、業績が悪ければその期いっぱいでクビにされることもあります。
社員全員が常に、結果を出すために必死な環境であることも、外資系企業の特徴の1つです。
外資系企業は残業=恥?
日系企業では、たくさん働く人が偉いという風潮があります。
しかし、外資系企業では真逆。残業している人=仕事ができない(または遅い)と思われてしまいます。また、あまりにも残業が多いと、実力がない人とみなされます。
同じ「月に100万売り上げる人」でも、毎日残業している人と、残業を一切していない人だったら、残業をしていない人の方が優秀とされるのは理解できると思います。
外資系企業では短い労働時間でいかに成果を上げるかが大切なのです。
外資系企業で働くメリット
外資系企業と日系企業の違いは理解できましたか?
もちろん、ご紹介した特徴がすべての外資系企業に当てはまるわけではありませんが、多くの外資系企業は、好きな時間に働けてお給料も高めである反面、実力主義で成果をあげなければならないのです。
ここからはより具体的に、外資系企業で働くメリットを紹介していきます。
年収1000万円以上が狙える
メリットの1つ目は、年収1000万円が狙えることです。
お伝えしてきたとおり、外資系企業は実力次第で年収が高くなります。
年収が1000万円以上の日本人は全国で3~4%と、かなり少ないです。日系企業であれば、幹部クラスにならないと1000万円を超えるのは難しい場合も多いです。
ですが、外資系企業では年収1000万円も珍しくありません。
例えば、有名な大手コンサルティング企業のマッキンゼー・アンド・カンパニーでは、平均年収が1500万円だそうです。
年収1000万円を超えて、日本人の上位3~4%以内に入りたい方は、外資系企業に入社するメリットが大きいと思います。
オンとオフが明確
2つ目のメリットは、オンとオフが明確であることです。
外資系企業は自由度が高く、出社時間を自由に調整できる企業が多いのはもちろん、好きなタイミングでまとまった休暇をとり、旅行に行くこともできるそうです。
また、日系企業では緊急時は休みに関係なく対応する企業が多いです。みなさんのなかにも、ご両親がお休みの日に急な仕事が入ったことや、休みの日にもメールや電話対応に追われているのを見たことがある方もいるかもしれません。
しかし外資系企業では休日は「仕事を忘れてしっかり休む日」です。仕事のメールを気にする必要もなく、クライアントも休暇中だから連絡が一切つかない日がよくあるんだとか。
仕事が激務な分、休みはしっかりとれる、理想的な働き方ができるのが外資系企業で働くメリットです。
海外赴任も期待できる
みなさんのなかには、「将来は海外で働きたい」方や、「得意な英語をバリバリ活かしたい」方もいると思います。
日系企業に入社して、海外支社に赴任されるのを期待するのも1つの方法ですが、海外に支社の多い外資系企業に勤めたほうが、海外赴任できるチャンスは大きいです。
しかし、外資系企業のなかには海外に支社が少ない外資系企業もあります。最初に、外資系企業の3つの種類をお伝えしましたが、海外の支社が多いのは1つ目の「海外企業の日本支社」の場合です。
外資系企業で働くデメリット
もちろん、外資系企業で働くことはメリットだけではありません。ここからは、外資系企業に入社するデメリットをご紹介していきます。
日系企業に比べて安定しない
デメリットの1つ目は、日系企業に勤める場合と比べて不安定であることです。
不安定といっても、会社が倒産する危険性が高いわけではありません。むしろ、日系企業よりも倒産の危険性は低いです。
日系企業と比べて不安定である理由は、お伝えしてきたとおり、外資系企業では実力がすべてだからです。
最近では、日本でも終身雇用を辞める企業が増えてきました。会社の業績が傾いた際、成果の上がらない部署が無くなったり成績の悪い社員がクビを切られることは珍しくないですが、外資系企業はもっと厳しいのです。
業績の良し悪しにかかわらず、実力がない社員はいつでもクビになります。新入社員が入っては抜けて、入ってはまた抜けていく企業もあるそう。
安定性を求める方にとっては、外資系企業は少し厳しい環境といえそうです。
文化に馴染めないことがある
デメリットの2つ目は文化に馴染めない場合があることです。
企業によっては海外の文化が強く、日本で育ってきた方にとってはなかなか理解できないこともあるようです。
会議での発言の様子、プレゼンの仕方、挨拶、メールや電話での連絡の仕方など、日本では「マナー違反だ」と思われることが普通とされることもあるかもしれません。
異文化色の強い企業であれば慣れるまで苦労もあると思います。
必ずしもお給料が高いとは限らない
デメリットの3つ目は、お給料が高いとは限らないことです。
外資系企業でお給料が高いのは、実績のある人に限ります。つまり、成果が出せないうちはお給料も少ないのです。
成果が出せないときには、労働量に合わない給料だと感じる人もいるかもしれません。実力主義であることをしっかりと理解して、お給料が低い間も愚直に頑張れる方は良いですが、少ないお給料でもがんばり続けられる自信がない方にとって、実力主義はデメリットが大きいかもしれませんね。
福利厚生が少ない
デメリットの4つ目は、福利厚生の少なさです。
日系企業には住宅手当(家賃補助)、通勤手当などさまざまな福利厚生がありますが、外資系企業にはほとんどありません。
外資系企業は基本給自体が高めですが、福利厚生に当たるような諸手当はそのなかに含まれているという計算なのです。
手当も含めると日系企業のほうが給与が高いこともあるので注意してくださいね。
外資系企業:基本給25万円、手当無し(交通費も自己負担)=総額25万円
日系企業:基本給20万円、住宅手当5万円、交通費1万円支給=総額26万円
外資系企業への就職に必須な3つのスキル
外資系企業とは、日系企業とで、は異なる点が多いことのはおわかりいただけたかと思います。
企業としての特徴が異なるのはもちろんですが、就職するのに必要なスキルも異なります。日系企業では、新卒社員は「ポテンシャル採用」と言われ、どのようなスキルを持っているかよりも、学生時代にどのような経験をしてきたのか、これからどのようなキャリアを送っていきたいのかが重視されます。
しかし、外資系企業では新卒採用でも即戦力になるような人を求めている場合が多いです。
ここからは、外資系企業に就職するために必須とされるスキルのなかでもとりわけ重要な3つのスキルを紹介していきます。
最低限の英語力
言わずもがな、外資系企業に勤めるにあたって英語力は必須です。
特に海外の支社と頻繁に連絡を取るような部署であれば、メールや電話は英語を使用するのがあたりまえ、企業によっては社内公用語として社内での日常会話にも英語が採用されている場合があります。
楽天株式会社が、社内公用語を英語にしたというニュースは有名ですよね。楽天株式会社以外にも、株式会社ユニクロや株式会社資生堂なども英語化を進めているそうです。
即戦力になるスキル
即戦力になるスキルとは、Webデザイン、Webライティング、プログラミング、動画編集などが挙げられます。
業務によって求められるスキルは異なりますが、その業界で即戦力になれるスキルを持っていなければ、入社後にかなり苦労することになると思います。
ただし、新卒採用であれば「内定をもらってからスキルを身につけるならOK」としている企業もあるので、ぜひ調べてみてください。
何事にも積極的になる力
外資系企業への就職に必須のスキル3つ目は何事にも積極的になる力です。
この力は、日系企業に就職する場合でももちろん必要ですが、外資系企業では特に重視されていると考えて良いでしょう。
外資系企業で実力をつけて成果をあげていくためには、積極的にチャレンジするスキルが必須です。
しかし、このスキルに関しては、意識するだけでも大きく変わってくると思います。積極性に自信がない人は、ぜひ今日から意識してみてくださいね。
外資系企業って実際どうなの?よくある質問3選
ここからは、新卒で外資系企業への入社を狙うにあたってよくある質問に答えていきたいと思います。
英語はどのくらい必要ですか?
必要とされる英語力は業界によっても異なります。
金融業界や商社であれば、800〜900点は必須です。
また、ホテル業界や旅行業界は700点程度でも合格できるといわれています。
英語をあまり使わない業界・企業であっても最低600点は必須と考えておきましょう。外資系企業ではエントリーシートでTOEICの点数を見て足切りする企業もあります。
そのため、外資系企業への就職を狙う場合は、はやめにTOEIC対策をおこなっておきましょう。
実力がないとクビになるの?
外資系企業は年齢や勤続年数よりも実力が重要視されており、成果を出せないとクビになることがあるとお伝えしてきました。
しかし、成果が出せなければ即クビという企業も少ないので安心してください。
最初にお伝えしたとおり、外資系企業にもいろいろな種類があります。定義上こそ外資系企業ではありますが社風や企業文化は日本色が強い企業ももちろんあるのです。
そのため、外資系=実力がないと即クビにされるわけではありません。
ですが、どの企業でも、ただ企業に居座るだけではお給料がもらえないことに変わりはありません。成果を出すために一生懸命努力する姿勢が求められているので、覚えておきましょう。
新卒で入社するにはインターンが必須?
「新卒 外資系」で検索すると、インターンシップへの参加が大切だという情報が出てくると思います。
新卒で外資系に就職しようと思ったら、インターンシップへの参加が必須なのでしょうか?
結論からお伝えすると、インターンシップへの参加は必須ではないものの、非常に重要とされています。
というのも、元々インターンシップとはアメリカで100年以上前から続けられている就業体験のことで、日本の就職活動にインターンシップが取り入れられたのはつい最近なのです。
つまり、日本でインターンシップが一般的になるよりもずっと前から外資系企業ではインターンシップがおこなわれていたということ。
そのため、日系企業よりもインターンシップを重視している外資系企業は多くあります。3ヶ月以上の長期にわたるインターンシップもあるかもしれません。
また、日系企業よりも外資系企業のインターンシップの方が選考感は薄く、より実務体験に近いのも特徴的です。新卒で外資系企業への就職に興味がある場合は、はやめに志望先を絞り、インターンシップで実力をつけておくことをおすすめします。
外資系企業をどうやって探せばいいの?
外資系企業を志望する場合でも、企業を探す方法は基本的に変わりません。
大手ナビサイトでも外資系企業を見つけることができますし、外資就活に特化したサイト(外資就活ドットコムhttps://gaishishukatsu.com/)で探すこともできます。
また、大手外資系企業であれば、自社ホームページで募集している企業もあります。ぜひチェックしてみましょう。
まとめ:外資系企業とは、実力重視で年収と自由度が高い企業
いかがでしたか?
外資系企業の種類から、日系企業との違い、外資系企業に勤めるメリットやデメリットをお伝えしてきましたが、あなたは外資向きか日系企業向きか、なんとなくわかってきたでしょうか?
外資系企業は外国から一定以上の出資を受けている企業のことで、名前からすると日系企業に見えても実は外資系企業ということがあります。
また、外資系企業は
- 年収が高い割に自由度が高い
- オンとオフがはっきりしている
などの特徴から、とてもやりがいがあり、働きやすい環境だと思います。
その一方で、外資系企業には
- 完全実力主義で、雇用自体は不安定
- 高い英語力が必須
- 福利厚生などは少ない
といったデメリットもありました。
ただし、すでにお伝えしてきましたが、日本にあるすべての外資系企業が、ここでお話ししたすべての特徴に当てはまるわけではありません。日系企業に近い外資系企業もたくさんあるのです。
またわたしは現在、ベンチャー企業で働いていますが、外資系企業の特徴としてあげられる特徴のいくつかは、ベンチャー企業にも当てはまると思います。
などとは考えず、できるだけ広い視点でたくさんの企業をみると良いのではないかと思います。
外資系企業とはどのような企業なのか、できるだけわかりやすくお伝えしましたが、企業選びの参考になれば幸いです。
みなさんにぴったりの企業が見つかることを願っています。