教員免許を取りながら民間就活もしたい。
でも、教育実習もあるしスケジュールが不安…。
そもそも教育学部は就活で不利って聞いたし…。
教育学部のなかにはこのような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
実は僕も教員を目指しながら民間就活を進めており、両方に力を入れた結果、どちらにも進めないのではないかと不安を抱えていました。
そこで、今回はそのような不安を解消するために、教育学部の就職活動について徹底的に解説していきます。ご紹介するのは以下の5つです。
- 教育学部の学生の就職事情
- 教育学部生に多い就職先8選
- 教育学部出身が民間企業に就職するためのポイント
- 教育学部生が就職活動で聞かれる質問
- 教育学部で得られる資格一覧
この記事を読めば、教員採用試験と民間就職の両方を同時に進められるようになります。
ぜひ、お伝えしたことを参考にして、納得して就職活動が終われるようにしていきましょう。
教育学部生の就活事情
では、はじめに教育学部生の就活事情の概要についてご紹介します。
あなたの不安も和らぐと思うので、ぜひ最後まで読んでみてください。
教育学部生でも民間企業に就職できる
「教育学部でも民間企業に就職できるの?」という疑問についてですが、結論から言えば、できます。
民間企業に進む割合は、大学ごとにバラバラで、文教大学では約13%という調査結果が出ています。
確かに、他の学部と比べるとかなり低いです。
ですが、民間企業に就職する学生は存在しており、教育学部生が民間企業に就職することは可能だということがわかります。
教育学部は民間就活で不利になることはない
そして、同じように教育学部だからといって、民間就活で不利になることはありません。僕を含め、教員を目指しながらも最終的に民間企業に就職した人は多くいます。
「教育学部は教員になるのでは?」
というイメージを持っている人も多いため、面接官からもそのような質問をされることはありますが、しっかり民間企業に就職する理由を話せれば、問題ありません。
むしろ、教育学部だという理由だけで不合格になる企業に就職するのは危険でしょう。
教育学部生に多い就職先8選
次に教育学部生に多い就職先をご紹介します。具体的には以下の8つがその就職先です。
- 教員
- 国家公務員
- 塾業界
- 出版業界
- IT業界
- コンサル業界
- キャリア教育業界
- 金融業界
1つずつどのような仕事があるか、どのような企業があるか、詳しくお伝えします。新たに気になる仕事があるかもしれないので、ぜひ参考にしてみてください。d
教員
まずは、多くの方が候補にしている教員です。
ほとんどの教育学部が教員免許の取得を卒業要件にしているため、大学を卒業する=教員になる資格があるということになります。
そのなかでも、「公立」か「私立」か、「中学」か「高校」かなど種類が分かれているため、しっかりそれぞれの特徴を押さえて就職先を決めることが重要です。(例えば、公立は副業がNGだが、私立は副業がOKのところがあります)
教員は世間的に安定した職業と見られていますし、人の成長を見届けられるという点で素晴らしい職業に違いありません。
ですが、激務なことも多いので、慎重に職業選択をしましょう。
国家公務員
教育学部生のなかには国家公務員になる方も多くいます。具体的には教育委員会や文部科学省です。
教員は教育現場に出て、直接生徒たちと関わることができる代わりに、日本の教育全体を動かすことができません。
そのため、学校教育全体に影響を与えたいと考える方が、教育委員会や文部科学省などの国家公務員を選ぶようです。
また、教員と国家公務員は試験の内容も似ているので、併願している人も多くいます。
教員も国家公務員も素晴らしい職業なので、あなたがどのようなアプローチで教育に関わりたいかを考えてみるとよいと思います。
塾業界
生徒に学問を教えられるのは、教員だけではありません。民間企業が運営している塾でも生徒に多くのことを教えられます。
塾講師の魅力は授業に集中できることです。
教育学部の方であればご存じだと思いますが、教員は授業以外にも部活動や事務作業などさまざまな仕事があります。それが原因で、なかなか授業を作るのに時間を取れないこともしばしば。
それに比べて、塾講師は学生の学力を上げることが最優先事項なので、多くの時間を授業準備につかえます。
また、塾講師はキャリアの柔軟性も高いです。塾で教えた経験をもとに教材の開発や教室運営などのキャリアアップができます。
学問を教えるプロになりたい方や、教えながらもいろんなことに挑戦したい方には塾講師がピッタリです。
出版業界
多くの中高生が学校生活や受験勉強でお世話になる、ベネッセやZ会などの出版業界にも就職する方は多いです。
これらの企業では主に家庭学習や受験勉強用の書籍を出しています。
そのため、あなたがこれまで教育学部で培ってきた知識や経験を仕事に活かせる機会が多くあるでしょう。
直接、生徒と関わりを持つことはできませんが、書籍という媒体を通して、より多くの生徒の勉強を支援できます。
IT業界
最近では、ICT教育と呼ばれるITと教育をかけ合わせた施策も積極的におこなわれていますよね。
教育の最先端を学んでいる教育学部の学生であれば、デジタルを用いた新たな教育に関心が高い人も多くいるのではないでしょうか。
また、ITは教員の働き方を改善するのにも役立っており、これからどんどん伸びていく業界であるのは間違いありません。
最先端の教育を普及させることや教員の働き方の改善に興味がある人にはおすすめの就職先です。
コンサルティング業界
コンサルティング業界も教育学部生の進路先として人気があります。
「教育学部とコンサルティング?どこにつながりが?」
と思われる方もいるかもしれません。
実は世の中には学級や学校の経営に対してコンサルティングする企業があります。
具体的には
- どのように学校全体の体制や仕組みを作っていくか、
- どのように授業をすればより生徒達が意欲的に授業に取り組めるか
などをアドバイスするのがこの仕事です。
教育委員会や文部科学省に行く学生のように、教育現場全体をよくしていきたいと思う方や教員のサポートをしたいと思っている方であれば、大きなやりがいを感じられる業界でしょう。
キャリア教育業界
人のキャリアを支援したいと考えている人であれば、教育業界もおすすめです。教育は大学までで終了するわけではありません。
社会人になったあとも自分の人生を考えて日々学んでいく、いわばキャリア教育がとても重要になってきます。
ですが、現在、学校教育でキャリア教育が積極的におこなわれているかというと、そうとはいえません。あなたも「もっと早く就職に関して教えてほしかった」と思うことがあるのではないでしょうか。
そのような学校教育で漏れてしまったキャリア教育を担当している企業が、世の中にはたくさんあります。
もし、あなたが人生という単位で教育に携わりたいと思うのであれば、キャリア教育業界はおすすめです。
金融業界
教育など関係なく、金融業界に行く学生も多いです。理由は安定しているから。教員と安定しているという点で共通しており、とても納得感がありますよね。
さらに、共通点はそれだけではありません。転勤が少ないところも教員と似ています。特に、地方銀行は地域に密着しているところが多く、転勤になる可能性が限りなく低いです。
教員の安定という側面に魅力を見出している学生は、金融業界という選択肢があると覚えておくとよいと思います。
教育学部出身が民間企業に就職するためのポイント
教育学部生が多く就職する職種や業界は押さえられたでしょうか。なかには魅力的に感じたものもあるかもしれません。
では、実際、民間企業に就職するためにどのような点に気を付ければよいのでしょうか。教育学部生が民間企業に就職するポイントは以下の4つです。
- 教員ではなく民間企業に就職する理由を明確にする
- 教員を否定するようなことを言わない
- 教育実習と就活が被らないようにスケジュールを組む
- 視野を広げてさまざまな企業を見てみる
これからご紹介するものは教育学部生が民間就活をするに当たってかなり重要なことになってきます。ぜひ、ポイントを押さえて面接の通過率、就活後の納得感をあげていきましょう。
教員ではなく民間企業に就職する理由を明確にする
まず、先ほどもお伝えしたように、「なぜ教員ではなく、民間企業に就職しようとしているか」を明確にする必要があります。
教員免許は一度取得してしまえば、10年間は有効です。
そのため、数年間は民間企業を体験してから教員になろうと考えている方もいるのではないでしょうか。
それ自体は悪いことではありません。むしろ、民間企業を体験している教員が学校教育にいるというのは生徒にとってよいことでしょう。
ですが、企業からすると、途中でやめられるのは好ましいことではありません。企業は採用した人材にできるだけ長く働いてほしいと思っています。
そして、どれだけ長く働いてくれるか、熱意があるかを確かめるために「なぜ教員ではなく、民間企業なのか」を聞いてきます。
これにしっかり答えられないと、志望度が低いとみなされ落されてしまうので、答えられるように準備しておきましょう。
教員を否定するようなことを言わない
「教員は重労働なのでやめました」
「教員という働き方に魅力を感じなくなりました」
などの教員を否定するようなことを言わないことも重要です。
自分から教員の悪口を言うのはもちろんのこと、面接官から先ほどのような質問をされたときも教員のネガティブなことを言わないようにしましょう。
ネガティブなことを言ってもあなたの評価が上がるわけではありません。むしろ、他者批判やネガティブな発言はあなたの評価を下げてしまいます。
教員にならない理由を聞かれときも、教員は素晴らしい職業だという前提のうえで話すようにしましょう。
教育実習と就活が被らないようにスケジュールを組む
教員免許を取得しながら民間就活をするときに一番不安なのはスケジュールですよね。僕もちゃんと就活ができるかとても不安でした。
そのなかでも教育実習の期間はしっかり就活ができるかとても不安ですよね。
基本的に教育実習があるのは5月〜6月の間ですが、その時期には多くの企業が面接をおこなっており、就活の忙しさもピークを迎えてしまいます。
そのため、教育実習と第一志望にしている企業の選考が被ってしまう可能性が高いです。
どちらかの日程を移せればと思うかもしれませんが、基本的にはどちらも日程を動かせないと思っていたほうがよいでしょう。
直前になって日程が被っていることに気付くと、他の企業を受けてないために焦ることもあると思うので、はやめに確認しておくようにしてください。
また、最近ではさまざまな企業が早期選考を実施しています。教育実習と選考が被る可能性がある場合は早期選考を受けるのもおすすめです。
視野を広げてさまざまな企業を見てみる
もうすでに就職する業界を定めている方もいるかもしれませんが、視野を広げてさまざまな業界や企業を見てみるのもおすすめです。
教育学部だから教育系の企業以外は受かりにくいということもありませんし、幅広く企業をみることで、あらたに魅力的に企業を見つけられる企業は多いにありえます。
私自身、教員を目指していましたが、最終的に選んだのはIT企業でした。
また、たとえ教育関係のところに行かなかったとしても、さまざまな業界や企業をみることで、自身の知見が広がり、人を育てるときに役立ちます。
就活期間中は「社会」勉強の意味もこめて、さまざまな企業を見てみましょう。
教育学部生が就職活動で聞かれる質問と回答例
教育学部生が就活するときのポイントは押さえられたでしょうか。それが押さえられたら、次は就職活動で教育学部生が聞かれる質問と回答例をご紹介します。
それぞれ聞かれる可能性が極めて高い質問なので、聞かれたらすぐに答えられるようにしておきましょう。
教育学部に入った理由はなんですか?
まずは、「教育学部に入った理由はなんですか?」という質問です。質問意図は次の2つです。
- 行動に意図があるが知るため
- その人の考え方や人柄を知るため
基本的に何か行動したことに対して、しっかり目的があるか確かめています。そうすることで入社後も目的を持って仕事をするか判断するのです。
また、その人の行動するときの思考を知ることで人柄や思考の特性を把握し、入社後どのように行動するかを見極めています。
答えるときにはしっかりエピソードを用いて答えるようにしましょう。以下に例文を載せておくので、しっかりぜひ参考にしてください。
どうして教員にならないのですか?
2つ目は「どうして教員にならないのですか?」という質問です。先ほどもお伝えしましたが、質問の意図は次の3つです。
- 教員を目指すために内定辞退をされないか確かめるため
- 教員になるために早期退社しないか確かめるため
- 入社意欲があるかを確認するため
本音では、教員の道を考えているかもしれませんが、答えるときにはしっかりと教員の道に進む気がないことをアピールしましょう。以下に回答例を載せておくので参考にしてみてください。
教育学部でどのようなことを学びましたか?
3つ目は「教育学部でどのようなことを学びましたか?」という質問です。この質問には以下のような意図があります。
- 学問にどのように向き合ってきたか
- 学んだことをどのように会社で活かすか
答えるときにどんなことを学んだかで回答が終わってしまう学生がいますが、しっかり学んだことをどのようにその企業で活かすかを伝えるようにしましょう。
日本の教育ではものごとの本質を考える力を伸ばせないことを学びました。「なぜ日本の学生は必ず国歌を歌わなければならないのか?」という議題でディベートしたときに多くの学生がそんなことを考えたことがないと答えたのですが、その理由が愛国心のためだと習いました。それ自体がよいかどうかは置いておいて、自分がすでにあるものを無批判に受けていることに気付きました。
御社に入社してもこの学びを活かし、まず自分が本質、つまり目的をしっかり考え、さらに教える側についても本質を考えるような教育をしたいと考えています。
教育学部で学んだことをどう弊社で活かしますか?
4つ目は「教育学部で学んだことをどう弊社で活かしますか?」という質問です。
「あれ?3つ目の質問でも答えなかった?」
そう思われたかもしれません。そうです。その通りです。
実は「教育学部でどのようなことを学びましたか?」と「教育学部で学んだことを弊社で活かしますか?」は同じ内容の質問を言い換えただけ。
そのため、3つ目と同じ回答をすれば問題ありません。自信を持って回答しましょう。
教育学部で得られる資格
では、最後に教育学部で得られる資格をご紹介します。教育学部で得られる資格は次の5つです。
・幼稚園教諭免許
・小学校教諭免許
・中学校教諭免許
・高等学校教諭免許
・特別支援学校教諭免許
それぞれどのような免許かを具体的に説明します。資格取得を通して得たスキルや知識は民間企業で働くときも役に立つので、取得して損のないものばかりです。
幼稚園教諭免許
幼稚園教諭免許は幼稚園の教諭になるために必須の資格です。経営または、幼稚園内での指導をするためには第一免許が必要で、4年制大学を卒業すれば取得できます。
また、似たようなものに保育士資格がありますが、それとは別物です。幼稚園教諭免許は文部科学省から、保育士免許は厚生労働省から出されるもので、その観点からすると、幼稚園教諭免許は教育者としての側面が強いでしょう。
小学校教諭免許
公私立問わず、全国の小学校で教員として働くための資格です。4年制大学を卒業すれば、第一免許を取得でき、小学校で働くことを認められます。
ただ、小学校教諭免許はすべての大学で取得できるわけではありません。また、中学や高校と違い、免許を取得するために数十万かかるのでその点は慎重に考えましょう。
参考:https://www.mext.go.jp/content/20210430-mxt_kyoikujinzai01-100002442_01.pdf
中学校教諭免許
公私立問わず、中学校で教員として働くために必要な資格です。
取得するためのカリキュラムが高等学校教諭と似ているので、ぜひ同時にとってはいかがでしょうか。ちなみに教育実習の期間は2週間です。
高等学校教諭免許
公私立問わず、高等学校で教員として働くために必要な資格です。中学校教諭と比べて、比較的倍率が高いのが特徴です。
中学校教諭のところでもお伝えしましたが、取得するためのカリキュラムが似ている中学校教諭免許と同時進行で取るのをおすすめします。ちなみに教育実習の期間は3週間です。
特別支援学校教諭免許
ろう学校、盲学校、特別支援学校で教員として働くために必要な資格です。
ただ、特別支援学校で指導をおこなうためにはこの免許だけでは足りません。小学校、中学校、高等学校、いずれかの教諭免許が必要です。
逆に小学校、中学校、高等学校に併設されている特別支援学級で指導するために特別支援学校教諭免許は必要ないので、覚えておきましょう。
まとめ:教育学部生は、就活する理由を明確に!
今回は教育学部生の就職活動についてご紹介しました。
教育学部生は勉強や教育実習があって、民間の就職活動が不安ですよね。
しかし、以下に示す4つのポイントを押さえれば、教育学部でも自分の志望する企業から内定をもらうことができます。
- 教員ではなく民間企業に就せい職する理由を明確にする
- 教員を否定するようなことを言わない
- 教育実習と就活が被らないようにスケジュールを組む
- 視野を広げてさまざまな企業を見てみる
特に「教員ではなく民間企業に就職する理由を明確にする」と「教育実習と就活が被らないようにスケジュールを組む」を徹底的にすれば、まず就活で困ることはないでしょう。
ぜひ、この記事を参考に就活を進めてみてください。あなたが教員免許と同時に納得して就職先に進めることを願っています。