「弊社が第一志望ですか?」と、最終面接で聞かれることがある。しかし正直、回答には困る。
入社したい気持ちが少なからずあるから、わざわざ会社まで足を運んで面接を受けにきたのだ、志望しているに決まっているじゃないか。
だが、選考を受けている会社は他にもある。今の時代、高校受験や大学受験でさえ「滑り止め校」を受けるというのに、就職活動では「志望している企業1社しか受けません」なんていう学生がいるわけない。
問題なのは、その企業が「滑り止め」だったときである。ほとんどの就活生は、第二志望でも第三志望でも、「はい、御社が第一志望です!」と笑顔で答えるのかもしれない。
だが、就活中の私は違った。
当時、私が受けていた企業のうち、お祈りメールが来ていない企業はたったは2つで、どちらの企業も残すは最終選考のみ。
2社とも、魅力的に感じていた。正直、内定をいただけた方に入社しようと考えていたが、「両方から内定がもらえたら、どっちに入社しようかな」と、最終面接前から悩んでいた。
お給料がいいA社か、新人でも多くの挑戦をさせてもらえるB社か。
自分が将来やりたいこと、就活の軸、会社の環境、キャリアステップ、いろいろと考えた結果、両方から内定をもらえた場合はB社に入社しようと決めた。
先に最終面接がおこなわれたのは、「第二志望」であるA社。第二志望とはいえ、とても魅力的な会社で、絶対に内定が欲しい。そういう想いで面接に挑んだが、結果は不合格だった。
電話口で、「素敵な学生であると感じましたが、入社したいという気持ちがあまり伝わらなかったと社長が判断しました。」と、不合格の理由を教えてくれた。
入社の意欲が伝わらなかった1番の原因は「第二志望です」と答えてしまったことだろう。しかも正直に「〇〇会社が第一志望です」と伝えたところ、社長同士が知り合いだったらしく、苦笑いされてしまったのだ。
失敗した。面接の最中だったが、不合格だろうと確信した。明日は第一志望であるB社の選考だ。もしB社もだめだったら、就活は最初からやり直しになる。
「第二志望」だなんて答えなければよかった。どうして誰も教えてくれなかったのだろう。
「第二志望」と答えても内定をくれるほど、就活は甘くない
私が、A社の最終面接で「御社は第二志望です。」と答えてしまったのには理由があった。
「面接官に嘘を言って誤魔化しても伝わってしまうから、正直に話したほうがいい」ということへの過信と、「第二志望と言ったのに受かったら嬉しい」という気持ちがあったからだ。
確かに、面接で嘘を言っても意味がない。自分をよく見せたいという想いで嘘を書いた自己PRは、簡単に見透かされてしまうだろう。
しかし就活は、「第二志望です」とバカ正直に答えても内定をくれるほど甘いものでもない。よほどのスキルを持った就活生を除いて、「2番目に入りたい会社」と答えてくる学生など、ほとんどの企業が求めていないのだ。
「第二志望です」と答えてしまった「私」の代わりなんて、いくらでもいる。目立ったスキルもないうえに志望度の低い、私のような学生をとるくらいなら、他の学生を取りたいに決まっている。
特別スペックが高いわけでもない学生は、そこを勘違いしてはいけない。第二志望と答えて内定をもらえると思うな。
面接官が「弊社が第一志望ですか?」と聞く理由
そもそも学生が、その企業以外も複数選考を受けていることは、面接官だって知っているはずだ。それでも多くの学生が「第一志望です」と答えるのもまた、知っている。
志望しているから、魅力あふれるエントリーシートを書いたし、1次選考も2次選考も頑張ってきた。志望しているに決まっているじゃないか。
どうして面接で、わざわざ聞いてくるのか。それは、内定を出したら学生が自分の会社に入ってくれるか、面接官は学生の口から直接、言葉で聞きたいのである。
就活生は、最終面接での面接官を、多くの場合「メンヘラ彼女」だと思うといいそうだ。
メンヘラ彼女とは、何度も繰り返し「私のこと好き?」と聞いてくる。彼女の機嫌を損なわないためには、「もちろん好きだよ」と、迷いなく答える必要があるのは、「メンヘラ彼女」と付き合ったことがない人でも想像できるのではないだろうか。
就活も同じで、最終面接での「弊社が第一志望ですか?」が、「私のこと好き?」の言い換えである。面接官の機嫌を損なわず、そのまま内定を獲得するためには、間髪入れずに「はい、第一志望です」と答えれば良いのだ。
私なりに見つけた「打開策」
とはいえ、私は嘘を吐くのが好きではないし、これを読んでいる就活生にも嘘はついてほしくない。
嘘を吐くことなく、複数の会社で「第一志望です」と答えるにはどうすればいいか。私なりに考えたベストな方法は、「順位を決めない」ことだ。
企業同士を比べ「入りたい順位」を決めてしまうから、嘘を吐くことになってしまう。どちらの会社に入りたいかなんて、内定が出てから考えればいい。
そこで私は、入りたいと思う企業を「第一志望群」と呼ぶようにした。面接で聞かれた場合も「群」だけは心の中で言うことで、「第一志望(群)です!」と答えることができた。
この方法はとても効果的で、企業同士を比べないことで企業ひとつひとつに向き合い「本当に私はこの企業で、やりたいことができるのだろうか?」と考えることができる。
企業そのものを相対評価ではなく絶対評価で見ることができるのだ。
「内定ブルー」という言葉がある。「本当にこの企業に入社を決めていいのか」と悩んでしまうのは、就活中に「どちらの企業のほうがいいかな」と、企業同士ばかりを比べてしまっていたからだろう。
大切なのは企業同士を比べることではない。比べるべきは、「あなたの想い」と「企業の想い」だ。
今日からはぜひ、企業同士を比べすぎす、第一志望「群」を作っていって欲しい。
就活では、「嘘」をつく必要は無いのだ。
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