法学部の就職先って?人気の業界・職種と法学部就活のコツ

弁護士や裁判官などの法律家を輩出する法学部。しかし実際に法律家になるのは法学部出身のなかでも一部の人。ほとんどの人は、民間企業に就職したり、公務員になったりと別の就職先に進んでいます。

法律家や公務員を目指しているわけではないけれど、実際就職するといってもどのような業界や職種を選べばよいか迷う法学部生も多いのではないでしょうか?

そこで、今回は法学部の就職先について詳しく解説しました。

「法学部は就職に不利じゃないか不安…」
「法学部に人気な業界や職種って何?」
「就活で法学部の何についてアピールしたらいいの?」

そのような悩みを持っている法学部生の方に、ぜひ読んでいただきたいです!

上村奈子
私も法学部出身で、就職でどこに進むか迷うこともありました。法学部の強みを理解して就活に挑むことで、幅広い業界から内定をもらうことができたので、ぜひ皆さんも法学部としての就活のコツをおさえていきましょう!

法学部の就職ってぶっちゃけ有利なの?

法学部は、その名前から就職へのイメージはあまり強くないかもしれません。

初めて出会った人に、「法学部です!」と自己紹介すると、
「法律家を目指してるの?」と聞かれたことがある法学部生も多いのではないでしょうか。

そんな「法律」のイメージが先行してしまっている法学部ですが、実際に一般企業に就職する人はどれくらいいるのか。
ぶっちゃけ就活は有利なのか、はたまた不利なのか、という疑問に答えていきます。

法学部は就職に有利に働くことが多い!

結論から述べると、法学部は就活に有利に働くことがよくあります。

法学部は授業やテストで論文などの長い文章を読み書きしたり、複雑な法律・政治問題などをディスカッションしたりする機会が他の学部と比べ多いです。

そういったところから、法学部の学生は就職活動において、

  • 論理的思考力
  • 文章力、読解力
  • ディスカッション能力

をアピールしやすいです。

また法律に対する知識や、法律の調べ方を知っている法学部出身者は、中小企業やベンチャー企業などの規模が小さい会社から、重宝されることも。

そういった理由から、文系学部のなかでも法学部は比較的就職活動がしやすい学部といわれています。

法曹・公務員・民間企業、どこに進む人が多い?

就活に有利なのはもちろんですが、法曹、公務員など幅広い就職先の選択肢があるのも、法学部の魅力のひとつですよね。

では実際、どういった就職先に進む人が多いのか、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。

たとえば、関関同立のひとつとして人気な関西大学の法学部。
こちらの卒業生のうち約8割の学生が一般就職をしているそうです。

公務員も2割弱と、他の学部と比べると多いのが特徴。

法曹を目指して、大学院に進学する人も一定数いるそう。

参考:就職先一覧|法学部|就職・進路|関西大学法学部・法学研究科

また、早稲田大学の法学部卒業生は、約10~15%が官公庁に就職しているようです。

参考:早稲田大学 法学部 卒業後の進路

他の学部に比べ、公務員や法曹試験に向けて大学院進学をする人が多いものの、一般就職をする人もとても多いと言えます。

法学部という名前ですが、法律というワードに関係のない幅広い業界に選択肢があるのがよいですね。

法学部に人気の業界・職種・資格とは?

法学部といっても、法律家になる人は一部で、多くの人が企業に就職していることをお伝えしました。

では、一般就職といっても多種多様な業界、職種があるなかで、何が法学部生から人気なのでしょうか。

また、法学部で取得しやすい資格や、就活に有利な資格はなにがあるのでしょうか。

ここからは、法学部に人気の「業界」「職種」「資格」について説明していきます!

金融・商社・ITなどさまざまな業界が人気

まず、法学部に人気の業界についてです。

実際、特定の業界に人気が集中しているというよりも、さまざまな業界に進む人が多いのが結論です。

そのなかでも特に、金融、商社、ITなどが人気といわれています。

給与水準が高く、法的知識が活かせる金融業界

法学部に限らず金融業界は就活生から人気がありますよね。

安定しているイメージや、給与水準が高いところが人気の理由です。

また、法学部生は金融業界に有利といわれています。

その理由は、銀行員として働く際に取引やお金の運用、リサーチなどをするうえで法律に関する知識が必要になってくるからです。そうした理由からも、法学部で金融業界を志望する学生は多いようです。

トレーディングで法的知識を活かせる商社業界

金融業界に加え、商社も法学部生から人気があるといわれています。

商社のメイン事業である、トレーディングと事業投資には法的知識を必要とする業務も多いそう。年収や福利厚生も充実している企業が多く、法学部以外の就活生からも大変人気な業界です。

インターネット化によって人気が高まるIT業界近年人気が高まっているのがIT業界。

インターネット化が急速に進む世の中で、IT業界は今後も成長を加速させるだろうと期待されている業界です。

その将来性の高さから、法学部生からも人気が高いようです。

今は文系学生でもエンジニアになる人が多い時代なので、これまで視野に入れていなかった人も検討してみるといいかもしれません。

法律の知識が関連する職種が人気

法学部に人気の職種は、やはり法律を学んでいるということもあり、法律知識が関連する職種が人気です。

法律の知識が直接活かしやすい職種は以下のようなものがあります。
・法務
・労務
・総務
・経理

これらの職種はさまざまな法律と絡む要素があるため、法学部生に人気で、企業側も法律知識を持っている人を求めているケースが多いです。

また、新卒で一番配属されることの多い営業職も人気です。とくに金融、保険、商社などの営業は法律の知識を活かしやすいでしょう。

もちろん企画、マーケティングなど法律とは直接関係のない職種に就く人もいます。

法学部は士業などの資格取得に強い

次に、法学部に人気のある資格についてです。

法学部は、士業などの資格取得に強く、人気があるといえます。

代表的なのが、
・社会保険労務士
・司法書士
・行政書士
・宅地建物取引士
などです。

弁護士や弁理士などの資格もありますが、難易度の高いため在学中に取得する学生は非常に少ないです。
法律家になることを目指して在学中勉強に打ち込む人もいますが、一般企業で就職を考えている人が資格を取るとしたら、上に挙げた社会保険労務士や宅地建物取引士などが現実的でしょう。

ただ、これらの資格は在学中だけでなく卒業後に取る人も多いです。また、内定後や入社後に、企業から指定された資格をサポートを受けながら取ることもあります。

もちろん資格を持っているに越したことはありませんが、資格がないからといって就活に不利に働くわけではありません。
資格取得の勉強に時間を割き、思うように就活ができなかったら本末転倒なんてこともありえます。

優先順位を考えながら、自分にとって必要な資格がなにかを考えてみてくださいね。

【偏差値別】法学部生の就職先

次に、みなさんが気になられているであろう実際の就職先の実績について、偏差値別でご紹介していきます!

こちらに書いてない企業には受かることができないというわけではないので、一例として参考にしてみてくださいね。

偏差値70

まず、偏差値70の大学がどのような就職実績があるかです。
ここでは、例として一橋大学法学部の実績を取り上げます。

〇銀行
信金中央金庫(4) 三菱UFJ銀行(2) 伊予銀行 国際協力銀行
商行組合中央金庫 住信SBIネット銀行 日本銀行
日本政策投資銀行 三井住友信託銀行 ゆうちょ銀行

〇保険
東京海上日動火災保険(2) 日本生命保険(2) ソニー損害保険
トーア再保険 日本貿易保険

〇電気・機械・その他製造業
パナソニック(3) 川崎重工業 キャノン タカギ トヨタ自動車 日本ガイシ 日本ヒューレットパッカード
モリタホールディングス 菱熱工業

〇情報通信
東日本電信電話(3) アマゾン・ジャパン
NTTコミュニケーションズ NTTデータ カプコン KSK KOSKA KDDI

〇マスコミ
大日本印刷(2) 日本経済新聞社 博報堂

参考:一橋大学

偏差値65

次に、偏差値65の大学です。ここでは上智大学のデータを取り上げます。

〇銀行
三菱東京UFJ銀行 三井住友信託銀行 三井住友銀行

〇保険
東京海上日動火災保険 明治安田生命保険 かんぽ生命保険

〇電気・機械・その他製造業
パナソニック トヨタ自動車 ヤマハ発動機

〇情報通信
NTTデータ ソフトバンク 楽天

〇マスコミ
読売新聞社 博報堂DYデジタル

参考:上智大学

偏差値60

続いて偏差値60です。例として成城大学法学部のデータを紹介します。

〇銀行
三井住友銀行 日本年金機構

〇保険
三井住友海上火災保険 明治安田生命保険相互会社

〇卸・小売
紀伊國屋 ファーストリテイリング

〇情報通信
富士フィルムビジネスイノベーションジャパン

参考:成蹊大学

偏差値55

続いて偏差値55です。ここでは亜細亜大学法学部のデータを紹介します。

〇銀行・金融・保険
四国銀行 日本郵政 みずほ証券

〇卸・小売
イオンリテール ジャパンビバレッジホールディングス スターバックス コーヒー ジャパン

〇電気・機械・その他製造業
コクヨ ニプロファーマ  大東ガス

〇情報通信
DTS パイオニア・ソフト 東日本電信電話(NTT東日本)

参考:亜細亜大学

偏差値50

最後に、偏差値50です。流通経済大学法学部の例を紹介します。

〇銀行・金融・保険
株式会社佐賀銀行 水戸信用金庫

〇運輸
京地下鉄株式会社(東京メトロ) 東武ビルマネジメント株式会社 株式会社JR東日本環境アクセス 日立物流ファインネクスト株式会社 ヤマト運輸株式会社

〇電気・機械・その他製造業
株式会社SUBARU 三菱ケミカル物流株式会社

参考:流通経済大学

法学部生が就活を成功させるコツって?

ここまで、法学部生に人気な業界や実際の就職先を見てきました。

気になる業界、企業はありましたか?

ここで注意したいのが、法学部からの就職実績があるからといって、必ずしもそこに受かるというわけではないこと。

行きたい業界や企業が見つかったら、その選考に向けて準備をしていく必要がありますよね。

そのため、最後に法学部生が就活を成功させるためのコツについて説明していきます。

きちんと対策して、納得内定を目指しましょう!

自己分析をしっかりして興味を明確に

まず一つ目は、自己分析をきちんとすることです。

自己分析が大切なのは、法学部生に限った話ではなく、就活においてどの学生にとっても重要になります。

しかし、その中でも幅広い業界に就職の選択肢がある法学部だからこそ、しっかりと自己分析をしていないと、業界・企業選びに迷ってしまいます。

もちろん迷うことが悪いわけではありません。迷ったり悩んだりして大丈夫です。

ですが、時間は有限です。就活の時期にすべての業界、ましては企業を比較する余裕はありません。

いろんな選択肢がある法学部だからこそ、そのなかで自分は何に興味があるかをしっかり自己分析していきましょう。

自己分析をすることで、自分の価値観が見つかり、企業選びの軸が固まれば、効率的に就活を進めていくことができますよ!

インターンに参加してさまざまな職種を体験

二つ目は、インターンシップに参加することです。

インターンシップとは、企業での就業体験のことをいいます。
約3時間の短いものから、1〜3日、2週間以上など、さまざまな期間・種類があります。

インターンシップに参加すると、業界への理解を深めたり、職種体験ができたり、いいことづくしなんです。

法学部での学びや、身につけた法律知識、論理的思考力などは仕事に活かされることがあると思います。
しかし、やはり大学の授業と実際の業務はまったく違う面も多くあります。

そのため、実際の業務を体験し理解をすることで、入社後のミスマッチを防ぐことが重要なんです。

さまざまなインターンシップに参加していくことで、だんだんと自分の興味関心がはっきりしてきて、スムーズに就活が進むと思いますよ。

ぜひいろんな業界・企業を見て、行動に移してみてくださいね。

法学部だからこその面接アピール

三つ目は、法学部だからこその面接アピールです。

これはどの学部にも言えることなのですが、

①なぜその学部を選んだのか
②その学部で何を学んだのか

ということをきちんと言語化して、相手に説明できるかどうかはとても大事になってきます。

それがちゃんと説明できないと、「この人は大学で何をやってきたんだろう?」と思われてしまっても、仕方ないですよね。

①、②に加えて、
③その学部の勉強を通して身に付いた強み

なども言えたら、なおよいでしょう。

例1)
①なぜその学部を選んだのか:法曹に興味があったから
②その学部で何を学んだのか:国際法について学んだ
③その学部の勉強を通して身に付いた強み:ディスカッション力

例2)
①なぜその学部を選んだのか:幅広い将来の選択肢を感じたから
②その学部で何を学んだのか:メディア政治の研究をした
③その学部の勉強を通して身に付いた強み:答えのない問いに向き合い続ける姿勢

ここで注意したいのが、これらにはベストな回答や「こう答えたら受かる」という答えが決まっているわけではないこと。
大切なのは、きちんと自分なりの答えを言語化できているか、そして筋が通っているかどうかです。

嘘や盛った話をする必要はありません。むしろそれが面接官にバレてしまうと逆効果になってしまいます。

①で法律家を目指したけれど、自分のやりたいことは別にあると気づいた
といった風に、学部を選んだ理由と今の将来像が変わっていても問題ありません。

自分の考えや経験を、自分なりの言葉で素直に、かつ分かりやすく話せるようにするのがポイントですよ。

上村奈子
私は法学部でしたが、政治学科だったため「法律の勉強はほとんどしていないです」と堂々と言っていました(笑)政治学科で学んだことを言語化できれば、面接に逆効果になることはなかったですよ。学部の名前にとらわれず、自分が学んだことを正々堂々と話せるといいですね。

まとめ:法学部生も自己分析やインターンシップの参加がカギ!

今回は、法学部の就職先についてご紹介しました。

ポイントをまとめると、

  • 法学部から民間企業に就職する人は多い
  • 特に金融・商社・IT企業などが人気
  • 大学で何を学んだかを面接で話せることが大事

ということでした。

ただ、学部で合否がすべて決まるわけではありません。

法学部に有利な業界だからといって気を抜かずに、自己分析やインターンシップの参加などを積極的におこなうことが、納得内定のカギです。

反対に、法学部にまったく関係のないように思える業界や職種にも、合格できるチャンスはあるので、ぜひいろいろな業界や企業を見てみてくださいね。

あなたが納得いく企業に就職できることを、心より応援しております!

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